＜その４＞

＜その４＞


【みーちゃん】「お、お前、なんでこんなところに・・・」
【天の川】「そっちこそ何でここにいんの・・・ってか、中学の時普通に毎日学校来てたじゃん！」
中学の頃は不登校でもなんでもなかったし、少なくとも天の川さんの耳には普通に高校に進学したとの話が入っていた。

【みーちゃん】「あーいや、高校入ったんだけど合わなくて中退してそのまんま・・・
　　　　　　　　ってかそっちは！？俺は中学の頃からオタク入ってたけど、全然そんな様子無かったよな？」
【天の川】「いや、オタクじゃないってだけでその頃からネトゲやってたよ？中学じゃ誰も話題にしないから隠すも何も無かったけど。」
みーちゃんからみた彼女の中学での印象は、『ちょっと暗めの大人しい子』。その印象も当時からオンラインゲームをやっていたが故なのだが、みーちゃん側にしてみればまったくの予想外。

・・・そして、ようやく状況を飲み込んできた二人に、ある疑問が同時に湧き上がってきた。
【２人】「なんでチャオ・オンラインに！？」

【みーちゃん】「あー、んじゃ、こっちから・・・」
【天の川】「うん・・・」

【みーちゃん】「チャオがオフラインだった頃のゲームソフトを持ってて、チャオ・オンラインが始まるって聞いて、知ってるキャラだなーって・・・」
【天の川】「あたしは・・・中学の頃から今まで色んなネトゲに手を出してて、チャオ・オンラインの話を聞いて面白そうだなーって・・・」

そこに、メニューを持ってクリスタルさんとシロうさぎさんがやってくる。
【クリスタル】（やっぱマズかったかなぁ・・・あの２人にしとくのは。）
【シロうさぎ】（まぁ、ネトゲとリアルは違うから、うまくやってくれれば・・・）
しかし、仲が良さそうに話している２人の姿は、まったくの予想外であった。

・・・事情説明。
【シロうさぎ】「・・・それ、マジ？」
うなずく２人。
【クリスタル】「奇跡どころじゃないぞこれは・・・」

そこで、シロうさぎさんが少し考える。
【シロうさぎ】「うーん、積もる話もあるだろうし、あたしらは別に席取るよー。」
【クリスタル】「あー、その方が良さそうだな。清算は後でいいから！」
すると、２人の分のメニューだけ置いて、空いてる席を探しに行こうとする。
【みーちゃん】「あ、別に構いませんから・・・って行っちゃった。」
２人が引き止めようとするが、既に２人は奥の２人席に座っていた。

・・・再び、しばし沈黙。
【みーちゃん】「・・・まぁ、何とでも言ってくれ・・・
　　　　　　　　中学のクラスメートがオタクでニートでネットアイドルのなりきりやってるなんて・・・最低だよな。
　　　　　　　　それでなくてもアイドルみたいなの、嫌いなんだろ？」
一転して、暗い雰囲気が流れる。
【天の川】「そりゃ、アイドルみたいなのは嫌いだけど・・・中身が中学のクラスメートだって知ってたら言わないよそんなコト・・・
　　　　　　・・・まぁ、あたしは軽蔑とかしないけどね。ネトゲの世界って結局そういう人多いから、慣れちゃった、というのかなぁ。」

そこで、みーちゃんは一安心したように、ため息をつくと、突然小声でこんなことを言い出した。
【みーちゃん】「・・・この広い世界の中で、私とアナタが出会えた奇跡を、この両手で感じたい、か・・・」
【天の川】「？」
【みーちゃん】「ああ、みーちゃんのキメ台詞みたいなもんでさ。特に深い意味を考えないで思いついた台詞なんだけど・・・」
【天の川】「いざ本当の奇跡を目の前にすると、どんな名台詞も霞んじゃうって感じかぁ・・・」

妙な余韻だけを残して、昼食の時間が終わる。


その後、オフ会の定番であるゲーセン＆カラオケに行く４人。
楽しい時間はあっという間に過ぎて、気がつけばもう夕方になっていた。

【シロうさぎ】「それじゃ、たっぷり遊んだし、解散かな？」
【クリスタル】「ですかね。俺も明日から仕事だし、さすがに夜まで遊ぶ訳には。」
【みーちゃん】「ですね。今日はお疲れ様でした。」
【天の川】「お疲れ様でした。」
【シロうさぎ】「それじゃあ、みんな・・・」
シロうさぎさんの合図で、４人同時に。

【４人】「チャオワールドで会いましょう！」


・・・かくして、シロうさぎさんとクリスタルさんは帰っていった。残されたのはやはりこの２人。
そもそも中学のクラスメート、帰るために使う電車も一緒である。
【みーちゃん】「はぁー、オフ会も楽しかったけど、まさか天の川さんの中身がお前だったなんて・・・」
【天の川】「こっちのセリフよ・・・しかもニートになってるっていうオマケ付き。」

その後は、言葉少なに駅に向かって歩く２人。

しばらくして、天の川さんが切り出した。
【天の川】「あのさぁ、・・・・・」


＜続く＞