＜その２＞

＜その２＞


【シロうさぎ】「わ、私は別に構わないけど・・・もう色々とバレちゃってるし。」
２４歳、女性、一人暮らし、××線沿線在住で普通にＯＬをやっている―――ここまで来るとバレてないのが顔写真ぐらい、といっても過言ではない。
【天の川】「自分もいいですけど・・・みーちゃんはいいんですか？」
と、みーちゃんに振る。
曲がりなりにも、自分を偽ってチャオ・オンラインの世界にやってきてるのである。抵抗もあるはずだ。
【みーちゃん】「うーん・・・まぁこの３人なら中身のこともバレてるし、みんながいいなら・・・でもハッキリ言って失望するよ？ｗ」
【天の川】「ああ、それは大丈夫です。最初から期待してませんから。」
【みーちゃん】「な、なにぃーっ！？
　　　　　　　　・・・って、天の川さんこそいいんですか？中身は女の人って聞きましたけど・・・」
男性が女性キャラを操ることは、オタク的視点もあって非常に多いが、女性が男性キャラを操ることはあまり多くない。
天の川さんはそんな少ないケースのうちの１人である。
【天の川】「うん、あんまり抵抗ないから。あ、こっちも中身に期待しちゃダメですよ・・・美人には程遠いですから。」

【クリスタル】「それじゃ、日時はいつがいいかな？」
【シロうさぎ】「そうねぇ・・・」

と、具体的な打ち合わせに入った。


みーちゃんのような「なりきり」を、一般的にロールプレイ（ＲＰ）と呼ぶ。
外見だけでなく、性格や喋り方なども設定して、「演じきる」。
通常は、リアルの話題をしてしまうとそれはロールプレイにならなくなる。その「キャラクター」の話ではないのだから。
ただ、そんな厳密な区切りはもちろん無く、つまりはオンラインゲームを楽しむための１つの手段にすぎない。

なお、ゲームの１ジャンルであるＲＰＧ、つまりロールプレイングゲームの語源もこのロールプレイである。


ミニゲームを進めているうちに、オフ会の詳細が決まった。
ゴールデンウィークの最終日、みーちゃんがブログに書いたライブの日の翌々日の午前１１時。集合場所は、都内の某大型電気店。
まず、お互いに携帯電話のメールアドレスを交換し、さらに携帯メールで互いの電話番号を交換しておいた。

【みーちゃん】「お疲れ様！手伝ってくれてありがと～！」
【天の川】「いえいえ、おつかれさまでしたー。」
【クリスタル】「お疲れっす。んじゃ、俺はそろそろ寝ますね。」
【シロうさぎ】「私も明日仕事だし、落ちとく。おやすみなさいー。」
ミニゲームも終了し、いい時間になったので解散となった。


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《みーちゃんのチャオブログ☆》

５月◆日【今度、オフ会をやります！】

今度…といっても、日時や場所は明かせませんが(^_^;;　、オフ会をやることになりました！
シロうさぎさん、クリスタルさん、天の川さんと私の４人でやる予定です！
さすがにその様子を写真で、とかは無理だと思うけど、やった後にまたブログで報告したいと思います！

あ、△日のライブはみんな来れるから来てねぇーっ☆

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世間はゴールデンウィーク。行楽シーズン真っ盛り、高速道路は渋滞して電車や飛行機も混雑する。
・・・が、いわゆる廃人やらニートの方々には無関係な話でもある。
チャオ・オンラインにやり込み要素は少ないとはいえ、オンラインゲームである以上、そういう人間も少なからずいるのだ。

みーちゃんのライブの日も、普段と変わらず友人や知り合いが１０人ほど集まって盛り上がった。
【みーちゃん】「１、２、３、チャオ～っ！チャオラーのアイドル、みーちゃんでーす！！」
【観客】「いえーいっ！！」

観客（といってもほとんど友人や知り合い）が盛り上がってる中に、クリスタルさんとシロうさぎさんもいる。
その時、シロうさぎさんにゲーム内メールが届いた。メールを開くと、送り主は隣にいるクリスタルさん。

隣にいるのに何故わざわざメールを送るかといえば、「ひそひそ話」のようなものである。メールの内容はこう。
『やっぱり、ライブには天の川さん来ませんね・・・』
それに対し、シロうさぎさんは返信する。以下、メールのやり取り。
【シロうさぎ】『まぁ、仕方ないんじゃない？こういうの苦手だって言ってたし。』
【クリスタル】『オフ会で変なことにならないといいですけど・・・』
【シロうさぎ】『私は心配する必要ないと思うけどな。
　　　　　　　　オフ会といえば、私はみーちゃんの方が不安かなぁ。今日のライブもタイプミス多くない？』
【クリスタル】『そういえば・・・でもタイプミスは無関係じゃないのかなぁ。』
【シロうさぎ】『だといいんだけどねぇ。』


【みーちゃん】「この広い世界の中で、私とアナタが出会えた軌跡を…、奇跡を、この両手で感じたい！」
言うまでもなく、『軌跡』は変換ミスである。
無事にライブ自体は終了したが、様々な不安要素が残るものとなった。


そして、それぞれの心に不安を抱えたまま、オフ会当日がやってきた。

＜続く＞