ONLINE DREAMS Episode2 −Real Dreams−

オンラインゲーム、それは人と人との繋がりで紡がれる世界。
リアルな『人間』同士で楽しむからこそ、リアルな『物語』が生まれる。

・・・これは、チャオを育ててチャオラー同士で交流するオンラインゲーム、『ＣＨＡＯ　ＯＮＬＩＮＥ』の世界で起こるお話―――



　　　　　　　　　　　　　　　【ONLINE DREAMS Episode2 −Real Dreams−】


＝＝＝＝＝
《みーちゃんのチャオブログ☆》

４月◎日【ライブのおしらせです！】

ゴールデンウィークの５月△日夜１０時から、アクアマリンサーバーのコミュニケーションロビーで、毎度恒例のみーちゃんライブを開きます！
歌を歌う…というのはボイスチャットではないので無理ですが、チャット機能とアクションを使ったパフォーマンスをやります！

皆さん、是非ぜひ遊びに来てくださいね！

＝＝＝＝

キャラクター名、みーちゃん。
チャオ・オンラインの世界で活動している、ネットアイドルみたいなものである。
自身のブログを使って告知と宣伝をして、チャオ・オンライン上でこういうパフォーマンスをする。

チャオ・オンライン自体が大規模なゲームではないので、人がたくさん来る訳ではない。来るのはせいぜい知り合いと興味本位の人ぐらい。
つまるところ、仲間内で「アイドルごっこ」をして遊んでるだけ、と言ってしまえばそれまでである。
―――が、本人たちはそれを楽しんでいるし、それで何の問題もなかった。


「・・・んまぁ、中の人は野郎のニートオタクなんだけどね！」
「それって公然の秘密なんじゃ！？」
「っていうかさらっと言うなよ！ｗ」

・・・まぁ、この世界でその事実はあまり大きな意味を成さないのであるが。

みーちゃんの友人、「シロうさぎ」と「クリスタル」の３人でチャットをしている。場所は、みーちゃんのチャオガーデン。
「シロうさぎ」さんは名前の通り白い服をメインにした女の子キャラ、「クリスタル」さんは長身の男性キャラ。
【みーちゃん】「あー、そういえば、リングがちょっと足りないのよ。ミニゲーム、手伝ってくれる？」
【シロうさぎ】「いいねー、いこっか！」
【クリスタル】「お、「天の川」さんも来てるな・・・声かけてみよっか。」
「天の川」さん、彼らの仲間の一人である。

【みーちゃん】「うーん・・・あの人私のことあんまり良く思ってないんでしょ？」
と、みーちゃんが流れを止めた。
【クリスタル】「いや、アイドルごっこが苦手ってだけで、普段一緒に遊ぶ分には大丈夫だって。」

モニターの向こうに「人間」がいる以上、どうしても苦手なところがある相手、というのはいる。
だからこそ、ちゃんとした人付き合いが求められるし、その点は現実世界と何ら変わりは無い。
ネットゲームは嫌いな人間がいたら別れれば済んでしまう分、そういう点が余計疎かになりがちなのであるが。

【クリスタル】「一応メールで確認したらＯＫだって。それじゃ、ロビーに出ますか。」
ミニゲームはロビーに出ないと遊べないので、みんなで外へと出る。

ロビーに出てしばらく雑談をしながら待っていると、天の川さんが現れた。
【天の川】「こんばんは、お待たせしました。」
身長が低めの少年キャラ。むしろ、男の子、という表現が近いかもしれない。

【みーちゃん】「こんばんはー！」
【シロうさぎ】「こんばんは。」
【クリスタル】「こんばんわーっす。」
チャオ・オンライン特有の「吹き出し」が立て続けに並ぶ。

【クリスタル】「それじゃ早速、いきますか！」
【みーちゃん】「おー！」
ミニゲームを行うには、まずロビーの一角にあるミニゲームのカウンターに行く。
カウンターの受付係（もちろんこれはＣＯＭ）に話しかけることによって、やるミニゲームを選ぶことができるのだ。

【みーちゃん】「それじゃ、まずはこれから！」
数あるミニゲームの中から１つを選択し、スタート。



その途中、ふとこんな話題になった。
【シロうさぎ】「そういえば、昨日毎日使ってる鉄道で事故があってさー、足止め食らって大変だったー・・・」
【クリスタル】「それって××線？ニュースでやってたよね。」
【シロうさぎ】「そうそれそれ！・・・って住所バレしてる！！ｗ」
鉄道の沿線となれば、住所はある程度絞られてしまう。
【天の川】「シロさんはとっくにバレてるんじゃ・・・」
思わず口が滑ることがよくある…のだが、現実のお喋りと違ってタイピングしてエンターキーを押す時間があるため、「わざとやっている」可能性もある。それは、本人にしか分からない。
【みーちゃん】「私の中身がニートでオタクなのと同じくらい公然の秘密ですよね！」
【シロうさぎ】「それと一緒にしない！ｗ」

【クリスタル】「そういえば、この４人って全員関東圏なんだっけ。」
シロうさぎさん程ではないが、ある程度長く付き合っていれば、住んでいる都道府県ぐらいはバレてしまうものである。
【みーちゃん】「そういえばそうですねー。」
【天の川】「ですね。」
【シロうさぎ】「オフ会とかもやろうと思えばできるのかー。」
【クリスタル】「・・・やってみます？オフ会。」

その一言で、一瞬４人に沈黙が流れた。ミニゲームのみが進行する。

＜続く＞