第十一話 ページ2
ツヤツヤソニックチャオとツヤツヤシャドーチャオは駆け出します。
このまま上を見上げたカオスチャオ達に、スライディングキック。
そしてその直後に、上空からの第二波攻撃。
そこから、一匹を二匹ずつでボコるコンビネーションです。
「ちゃお?なんだろうちゃお、この感じ?」
一匹だけ攻撃に加わらなかったテイルスチャオは、おっかないお顔のカオスチャオ達になぜか、なつかしさを感じます。
それは、楽しい思い出と、悲しい思い出を混ぜ合わせたような…。
そう思った時、あるカオスチャオ達を思い出しました。
テイルスチャオははっとし、思わず叫びます。
「待つちゃお、みんな。そのチャオ達は、そのチャオ達は…。」
テイルスチャオの叫び声に、上空のエミーチャオとナックルズチャオを見上げていた二匹のカオスチャオは、視線を声のした方、前方に戻します。
すると、二匹のチャオが駆け寄ってきます。
まずいです。気付かれてしまいました。
これでは、ツヤツヤソニックチャオ達のコンビネーションも決まりません。
しかし、すでにツヤツヤソニックチャオ達はスライディングキックの体勢にはいってました。
二匹のカオスチャオは、余裕をもってしゃがみガードし、ツヤツヤソニックチャオとツヤツヤシャドーチャオの足をがっちしとつかみます。
そのまま立ち上がると、ヒーローカオスはツヤツヤソニックチャオを右回しに、ダークカオスはツヤツヤシャドーチャオを左回しに、振り回す。
ばちこ~ん!
そして、上空からのエミーチャオとナックルズチャオを、挟み撃ちにします。
その場に崩れ落ちる、四匹のチャオ。
「み、みんな、大丈夫ちゃおか?」
駆け寄ってくるテイルスチャオ。
「はあ、…ひどいちゃお。」
悲しげな表情のまま、がっくしと肩を落とすナックルズチャオ。
テイルスチャオにせっかくのコンビネーションを台無しにされたので、ちょっと落ち込んでます。
「ひっく…、ひっく…。」
エミーチャオもしゃがみこんだまま、涙をこらえてます。
そしてツヤツヤソニックチャオとツヤツヤシャドーチャオはダメージが大きく、うつ伏せに倒れたまま、頭の上の球体を渦巻きに変えちゃってます。
「みんな、しっかりするちゃお!」
テイルスチャオは、一匹いっぴきに声をかけ、はげまします。
しかし、せっかくのコンビネーションを邪魔したテイルスチャオです。
ナックルズチャオもエミーチャオも、つーんとそっぽをむく。
「ご、ごめんちゃお。だってだって、あのチャオ達は…。」
ですが、ナックルズチャオもエミーチャオも、聞く耳を持ちません。
「こ、こいつらは、…。」
頭上の渦巻きを球状に戻したツヤツヤソニックチャオとツヤツヤシャドーチャオが、すっくと立ち上がりました。
「ああ、間違い無いちゃお。」
ツヤツヤソニックチャオもツヤツヤシャドーチャオも、この二匹のカオスチャオに触れてみて、テイルスチャオの言わんとすることに気が付きました。
テイルスチャオ達三匹は、なにやら衝撃の事実に気が付いてしまったのです。そのあまりの出来事に、苦痛に表情をゆがめる。
「どうゆうことちゃお!」
「ちゃんと説明するちゃお!」
ナックルズチャオとエミーチャオには、なんのことやら分かりません。
「ドツク攻撃チャオ!」
なにやらもめてるチャラチャオン達をよそに、オモチャオはヒーローカオスとダークカオスに指示します。
ぽこっ。
ぽこっ。
ぽこっ。
ぽこっ。
ぽこっ。
どつき飛ばされるキャラチャオン達。
「な…、なんちゃおって?」
「そ、そんな、嘘ちゃお?」
ナックルズチャオとエミーチャオも、二匹のカオスチャオに触れてみて、その事実を知りました。
「モウ一度、ドツク攻撃チャオ!」
ぽこっ。
ぽこっ。
ぽこっ。
ぽこっ。
ぽこっ。
オモチャオの指示により、またどつかれるキャラチャオン。
間違いありません。触れた時のこの感触。彼等は供に楽しい時を過ごした、あのチャオ達です。
しかし、友よ、君たちはなぜ、チャオトレーナーに魂を売ったのちゃお?
そうです。
このおっかない形相のカオスチャオ達は、イインチョウとイインチャウでした。
キャラチャオン達のチャオガーデンを湖に沈めたイインチョウとイインチャウ。
彼らもまた、チャオガーデンと一緒に湖の底に沈んだはずです。
それが、なぜこんな所にいるのでしょう?そして、なぜキャラチャオン達を攻撃してくるのでしょう?それも、おっかない形相で。
「一気ニ決メルチャオ。チャオ乱舞!」
オモチャオの指示に、ヒーローカオスとダークカオスはキャラチャオン達を、ぽこすかぼこります。
「や、やめるちゃお、イインチョウ!」
ぽこられながらもテイルスチャオは、必死に呼びかけます。
「目を覚ますちゃお、イインチャウ!」
ナックルズチャオも呼びかけますが、カオスチャオ達の攻撃は、止まりません。
キャラチャオン達はポコられる最中、大切なお友達を思いやる。
何度も何度もその名を呼びかけ続けるも、チャオ乱舞は続きます。
「無駄チャオ、無駄チャ