第九話 ページ2
「やったちゃお。あのマスチャッツに勝てたちゃお!」
ツヤツヤソニックチャオは大喜びです。なぜなら、初めてマスチャッツに勝てたのですから。
「勝ったちゃお。オレ、勝ったちゃお。」
両こぶしをにぎりしめるツヤツヤソニックチャオ。ぷるぷると両こぶしが震えだす。
体の奥底から、喜びがこみあげてくるのが、ツヤツヤソニックチャオには分かります。
「ちゃいと、ちゃいと~!」
「で、マスチャッツはなんで人間のがきんちょをいじめてたちゃお?」
感激に酔いしれるツヤツヤソニックチャオをよそに、ツヤツヤシャドーチャオは泣き止んだマスチャッツに話しかけます。
「ああ、それは、この世のチャオバランスが崩れたからちゃお。」
「ちゃおばらんす?」
「ちゃいと、ちゃいと~!!」
マスチャッツの言葉に、神妙に聞き入るキャラチャオン達。いや、ツヤツヤソニックチャオは、まだマスチャッツに勝てた喜びに酔いしれてます。
「どこぞのチャオガーデンから、たくさんのチャオが、お出掛けマシーンを使わないでお外に出ちゃったちゃお。」
「ま、まじちゃおか?」
「ちゃいと、ちゃいと~!!」
チャオがチャオガーデンの外へ行くには、ガーデン備え付けのお出掛けマシーンから出なくてはなりません。しかも、外に出られるのは一回の使用に付き、チャオは一匹のみです。
「チャオとは、この世のヒトの心を映す鏡ちゃお。つまり、世の中の治安が乱れまくってるちゃおから、チャオもおかしくなったちゃお。」
「ま、まじちゃおか?」
「そんな設定、知らなかったちゃお。」
「ちゃいと、ちゃいと~!!」
マスチャッツの言葉に驚くキャラチャオン達。しかし、ツヤツヤソニックチャオがうるさいです。テイルスチャオが黙らせに行くことにしました。
「ふふふ、ざまぁないですね。」
テイルスチャオがその場を離れた時、二匹のチャオがやってきました。
「お、お前達は…。」
おそれおののくマスチャッツ。その表情を見て、二匹はほくそえむ。
「に、逃げるちゃお!ぶはっ!」
叫ぶマスチャッツに、火の玉が命中!!
「ふふふ、なまじチャオ道なんて究めるから、こうなるのですよ。」
火の玉を放ったチャオとは別のチャオが右手をかざしながら近づいてきます!そして。
「ヘブンズゲイト!!」
一定の距離に近づいてそう叫ぶと、なんとマスチャッツが黒いマユに包まれていきます!
「ふふふ、もう一度チャオの教育をお受けなさい。」
不気味にほほえみながらそう言う、得体の知れないチャオ。
「に、逃げるちゃお!キャラチャオン、早く逃げるちゃ…。」
黒いマユが消えた時、マスチャッツの姿も消えていました。
「次は、あなた達の番ですね。」
その二匹を見て、わなわなと震えだすツヤツヤシャドーチャオ。
「な…、お、お前達がマスチャッツを負かすなんて…、あ、ありえないちゃお…。」
その言葉を聞いて、二匹のチャオはほくそえむ。
「どうやらお前は、チャオ空手超級に挑戦したことがあるみたいだな。」
「だが、私たちもあなたが知るチャオでは、ありません!」
黄金色の鈍い輝きを放つヒーローカオスチャオが、名乗ります。
「金城鉄壁、チャクラバ!」
深く蒼いきらめきを放つダークカオスチャオが、名乗ります。
「蒼天の霹靂、チャノキ!」
そして二匹のカオスチャオが声をそろえます。
「電光石火、ジュエリスト見参!」
「か、かっこいいちゃお!」
ツヤツヤソニックチャオを黙らせ戻って来たテイルスチャオは、その二匹に心をひかれます。
その二匹が、どんなチャオかも知らずに。
「あ、握手してちゃお。サインしてちゃお~。」
満面の笑みを浮かべてスキップで近づくテイルスチャオ。
そんなテイルスチャオを見てほくそえむチャクラバとチャノキ!
「ま、まつちゃお、テイルスチャオ!」
ツヤツヤシャドーチャオの叫び声も、テイルスチャオには届きません!!
「くらえ、ハリケーンミキサー!!」
チャノキは頭を下げて頭上の二本の角を前方へ向けると、そのままテイルスチャオに突進!
ポコッ。
「ちゃお~。」
テイルスチャオはチャノキの二本の角で、上空高く突き上げられます。
そして、落ちてきたところで、もう一突き食らわせ、上空高く突き上げられます。さらに、まだまだ突き上げようとしています。
「や、やめるちゃお~!!」
見かねたツヤツヤソニックチャオがスライディングキックでチャノキの足元をすくいます。
足をとられてすっ転ぶチャノキ。
テイルスチャオは上空から地面にたたきつけられ、うつ伏せに倒れます。
「だ、駄目ちゃお。渦巻きがもとに戻らないちゃお。」
テイルスチャオの様子を見守るエミーチャオは、涙ながらに叫びます。
「き、貴様ぁ、なんてひどいことをするちゃお!」
叫ぶツヤツヤソニックチャオ。しかし、チャクラバとチャノキはへらへら笑ってます。
「ゆ、許さないちゃお!」
つづく。