机上の空論(一部) 著者不明
(前略)
この世界はカオスエメラルドによって生物が生まれたと言っても過言ではない。
マスターエメラルドとカオスエメラルドの存在理由こそ明かされてはいないが、この地球に存在する「基」を中心に、カオスエメラルドは様々な命を与え、その痕跡として混沌因子が残った。
だが、その力は多くの人間からは失われている事だろう。
(中略)
多くの生物は、海からやってきたと言われる。水の精霊たるチャオも例外ではないだろう。
しかし、水の精霊故に不可解も多い。
何故その身体は、どの生物よりも素たる水に近いのだろうか。
これには、水が我々のような生物を作り出した事に起因するに違いない。
即ち、水そのものの「生きたい」という想いに、カオスエメラルドが手を貸したに違いない。
(中略)
チャオが人間よりも歴史が古い事は、恐らく無い。
私もその可能性を信じたが、それではチャオと我々の不完全ながらも成立している類似点が説明できないからだ。
先ずチャオが我々よりも先に生まれ、我々がそれを元にしてより完成された生物として誕生した、というのが私の中での説だった。
だがもし、チャオという生物の生まれた原因が「想い」ならば、私のこの説は通らない。
水という気体と固体の間にある中途半端な身体は、人間のように捉え所があるようで、幽霊のように捉え所がない。
それでもチャオは存在している。その存在理由を支えるのは、生きたいと思う願望に他ならないからだ。
そして世界は、混沌の手を尽して願いを叶えたのだろう。
(後略)