☆★☆週刊チャオ第344号【隔週刊化中】☆★☆

週刊チャオは只今、休刊前の隔週刊発行期間です。
休刊まであと3号です。(本号を含む)

隔週刊化中、どのようなペースで掲載を続けるかは自由です。
今まで通り毎週土曜に載せても構いませんし、1号に2週間分を載せる形でも可能です。
詳しくは【重要】週刊チャオの休刊計画についてをご覧ください。


~あらすじ~
週刊チャオの海賊版が海外で出回っていることから事件が発展。
内部班を追っていたチャピル達は敵に見つかり、編集部ビル屋上に捕らえられた。
しかし、実はそれはふうりんファンクラブによる誤報だったというのが、今回のお話。


「う、うーん」
大きく伸びをする。足で自分の居所を探る。
……どうやら、ベッドの上のようだ。
足をそろりと床に降ろしたものの、まだ少しくらくらする。バランス感覚を回復するために、ベッドの縁を手すり代わりにしながら、2、3歩、部屋の中央へと進んだ。
部屋の中は薄暗い。これは元々日差しを避けるために小さい窓なのと、さらにその窓にもカーテンがかかっているからである。

部屋の中央にたどり着いたふうりんの足は、床に横たわる奇妙な柔らかいものを見つけた。つんつんと足でつつく。
「わひゃあ」
変な声と共に飛び起きたのは、キョーバ君。勢い余って、ふうりんのポヨを掴む。
ふうりんはびっくりして、その場にしりもちをついてしまった。
「……キョーバ君?」

ふうりんはきょとんとした顔で、キョーバ君を見つめた。キョーバ君は目をこすりこすりしながら起き上がり、そして、辺りを不思議そうに見回す。
「ここって私たちが泊まってたホテルの部屋……ですよね?」
うなずくふうりん。
「どうして戻ってきたんでしょう?」
ふうりんは立ち上がって、またキョーバ君を見つめ直す。
「私は今、大変なことに気が付いてしまったのかもしれません」


ふうりんはキョーバ君に、早く荷物をまとめるように指示した。
「どうかしたんですか?」
キョーバ君が尋ねると、
「今すぐ帰りますよ! ステーションスクエアへ!」
ふうりんの焦ったような声が返ってくる。
「どうしてまた!?」
「事情は後で話します! 今は、一刻も早く編集部に戻らないと!」
言われるがままに、キョーバ君は自分の手荷物をまとめる。
折角なので、残っていた果物も、鞄の中に放り込む。

準備万端!

もともと荷物の少ないキョーバ君なのだった。


▼週刊チャオとは▼
チャオBBS内で、自分の考えたチャオに関する小説などを、みんなが書き込むツリーのことです。
週チャオに小説を載せるのには、何の資格も要りません。
また、小説以外にも、詩、俳句、歌など、文学作品なら何でもOKです。

なお作品への感想は上の「感想・伝言ツリー」へお願いします。

▼作者の方へのお願い▼
・読み切りか連載かによって投稿する場所が違います。適切なコーナーにレスをして書いてください。

・読者の人が見やすいよう、短文でいくつもレスを付けて続きを書いていかずに、なるべくひとつの発言の字数制限いっぱいまで追加しましょう。
・見やすくするために、2つ以上のレスを使うお話の場合、多段レスをせずに2つ目以降は全て1つ目にレスするようにし、一段になるようにしましょう。

× ├チャオのお話・1話  ソネック
    └チャオのお話・2話  ソネック
      └チャオのお話・3話  ソネック

○ ├チャオのお話・1話 ソネック
    ├チャオのお話・2話 ソネック
    └チャオのお話・3話 ソネック

●○発刊場所の臨時変更について○●
この度は、CHAO BBSがメンテナンスから復旧しない状況が長く続いているため、
ここ「週刊チャオ編集部 サークル掲示板」にて臨時の発刊を行うこととなりました。
CHAO BBSが復旧するまで、週刊チャオはこちらの掲示板に掲載されます。

基本的にはCHAO BBSの時と同様に週刊チャオを利用していただきたいのですが、実際のところ、いくつかの動作に違いがあります。
また、その他の詳細についても、ろっどさんが週刊チャオ331号発刊に関するお知らせにまとめられているので、詳しくはそちらをご覧下さい。

●○週刊チャオのQ&A○●

【私も週刊チャオに、小説を書きたいのですがいいですか?】
週刊チャオは誰でも、いつでも参加できるツリーです。
参加は自由なので書き込むのに許可や登録はいりません。
いい小説ができたら、ぜひ一度書いてみてください。

【週刊チャオのツリーはいつ立ちますか?】
基本的には毎週土曜日の0時、つまり金曜から土曜になった時です。
ただし、立てる人の都合等により遅れることも早まることもあるので、遅れたときはごめんなさい。

【小説を書きたいけど、次の発行日まで日にちがあり、まてません。】
週刊チャオは次の号が立つまでの一週間有効です。
月曜が来たらおしまい、ページが変わったらおしまいなんてことはありません。
もし小説が水曜日に完成したら、前の土曜に発行した週刊チャオを利用してみましょう。

【今日途中まで書いたけど疲れちゃった。まだ明日続きを書く予定なんだけど…】
そんな時はタイトルの中に「未完成」や「今週続きあり」などをいれておくのが読者
のみなさんのためにいいでしょう。あまり無理をせず自分のペースで書いていきましょう。

【書いた小説の著作権についてはどうなるの?】
基本的に各作者にありますが、週刊チャオ編集部に限って無断転載ができるものとします。


☆★☆ 週刊チャオの表紙 - Last Episode ☆★☆
      第8話 「守るべきもの」


ふうりんとキョーバ君は、ホテルのロビーへと走った。
けれども、2人はそこで、あまり出会いたくなかった人達に遭遇してしまった。
全身黒服の集団と目が合う。
ふうりんファンクラブ兼週刊チャオ同好会の面々が、たちすくむ2人を見て、驚いていた。
「ふうりんさん! どこに行ってんですか!」
「キョーバ君! ああ、生きててよかった……」
「だ、大丈夫ですか!?」
へなへなとへたり込むふう部の女性に、うろたえるキョーバ君。

「そういうふう部のみなさんも、どうかされたんですか?」
「もちろん!」
「ふうりんさんを探してた!」
「一体、どこに行ってたんですか、キョーバ君!?」
「それが、よくわからないんですよねぇ。気がついたらホテルの部屋に戻ってて……」

ふうりんが、辺りを見回して聞く。
「ところでリーダーは?」
その言葉に、ふう部メンバーは口々に反応した。
「そういえばまだ戻ってきてないね」
「まー、あんなやつほっとけーき」
「マジレスすると、仕事じゃね?」
「そーですよ。あの人以外にリッチなんですよ」
「医者ですからね」
「KATANAの好きな外科医です」
「それってかなり危ないんじゃ……」
「私たちは!!」
「誓って!!」
「リーダーのいる病院には行きません!!」
「たまにメス持ってにやにやしてます」
「それはさておき」
「これからどこかに行かれるんですか?」

ふう部メンバーの視線が、一斉にキョーバ君の方を向いた。
「わっ、私は知りませんよ」
ふう部メンバーの視線が、一斉にふうりんの方を向いた。
「私たちは、ステーションスクエアに帰ります! 今までお世話になりました! さようなら!」
ふう部メンバーの目の前が真っ暗になった。


かいろ君はテレビ局へと向かう。
そう、あの男と決着をつけるために。
たとえそれがいかに納得のいかない言葉であろうと、今のかいろ君が話せる相手は、彼しかいない。
それが、かいろ君の見つけた答えだった。

放送作家はかいろ君を見ると、まるで待っていたかのように、かいろ君をテレビ局内の空いたスペースへと案内した。

開口一番、かいろ君は言った。
「戻ってきたのは、支払いが用意できたからじゃないぞ! ボクにはどうしたらいいのか分からない! 分からないんだ!」
かいろ君の言葉に、放送作家の表情がくるりと変わる。
「だったらさっさと仕事見つけて働いて返せっつってんだろ」
そう、吐き捨てた。

「俺から言わせてもらえば、あれだけ一生懸命働いているオモチャオが、給料をもらわずただ働きなんて、どう考えてもおかしいんだよ。その殻を破るのには、お前が適任だ」
「ボクはお前の言う適任なんかには、絶対なってやらないからな!!!」
そう言ってから、かいろ君は少し考えるように、口をつぐむ。
不思議な沈黙が、2人の間を駆け抜ける。
また少し、言葉を続けた。
「資本主義は欠点の多いシステムだ!!」

いきなり妙なことを言われた放送作家は、その時初めて、かいろ君の目をまともに見つめ返した。
「なぜ?」
「利益を追求するよりも、もっとこう、みんなを幸せにするダイレクトな方法があるんだよ!! 例えばそう、無償で働くとかだよ! みんながちょっとずつ他人のためになることをやって、そしたら、すぐにみんながそろって幸せに一歩近づくじゃないか!!!!」

その言葉に、放送作家も少し考えてから答える。
「理想論ばかりを振りかざしてちゃいけねぇ」
放送作家は床を睨みつけた。
「かいろ君、お前の一番大事なことは何だ? 今のお前は好き勝手な未来ばっか見て、逆に自分の足元が疎かになってるんじゃないのか?」
「どういう意味だよ!!!!!」
「だからさ、そんなふうになればいいなと、俺は思わないっちゅう意味だ。みんなが同じような理想を抱いて、同じような目標を持つ世界なんて、馬鹿げてる。例えばテレビだってそう。どれだけ番組を作っても、視聴率100%なんて、出来ると思うか?」
そう言って、自分で首を横に振る。
「人によっていろんな趣味や、関心や、生き方があって、だから俺たちは、色々な番組を生み出せるんだ。カメラを向けるその人によって、こんなにも表情が違うんだ。……それはお前が一番良く分かっていると思ってた。残念で仕方がねぇよ」
放送作家の言葉には、よどみがない。

「目指すところは一緒でも、そこに行き着くまでの手段は違う!! お前が言いたいのは、人生の目標が一緒なら個性が一緒だということだあああああ!!! そんなことは、ありえない!!!!」
「ああ! だがそれが個性というものに於いて、一番大きな割合を占めているのも確かだ!」
いきり立つかいろ君を、放送作家が手で制す。
「かいろ君、お前の一番大事なことは何だ? 一番大事なことだけを追求しろ。それ以外は妥協しろ!」
「妥協なんて、出来るかよ!!!」
「いい加減にしろ! いいか、今が妥協のときだ。俺も出来る限りのことをする。だから、諦めろ」
「んなこと言われたってさ……」

かいろくんは次の言葉が出ない。
確かに、双方が妥協しなければ、放送作家との仲に決着をつけることはできないだろう。
けれど今、かいろ君がここで諦めてしまえば、今まで誇ってきた考え方、オモチャオとしてのプライドが、全て崩れ去ることを意味していた。有償労働へ手を出してしまえば、無償労働の価値が損なわれてしまうような気がした。それは、すなわち、かいろ君の今まで生きてきた価値を否定するのと同じだった。

しかし、放送作家は言った。
「お前にとって、それが一番やりたいことなんだろ。それを続けようと思ったら、ここでちょっと働いてみるしかないんだろ。余計なことに気を取られるな。それをやり遂げるためなら、絶対に」
かいろくんはしばらく悩んでから、放送作家に尋ねる。
「出来る限りのことをやってくれるんだよな?」
「あくまでも俺に出来る範囲でだがな」
真剣に答える、放送作家。
「協力してくれ!!!」

このページについて
作者
チャピル
掲載号
週刊チャオ第344号
ページ番号
363 / 369
この作品について
タイトル
表紙
初回掲載
祝!復刊!週刊チャオ第1号
最終掲載
週刊チャオ チャオ20周年記念号
連載期間
約16年9ヵ月17日