=【炎の世界編】=第34話
突如現れた二人のチャオ。
やたら長い名前のヴィディルシュヴァツァートと言う「破壊」の神の天使に、
実験No.R-379「ルシファー」と名乗る者。
一体何者なのだろうか。
「ナイトメアは使えねぇなぁ。
恐怖といっても相手は全然怖がってねぇじゃねぇか。
やっぱ俺らが最初から出てれば・・・。」
「そレを言うな、ヴィディル。
これモ作戦の内。元々ナイトメアなど駒ノ一つでシかない。」
ナイトメアを連れて来たのはこの二人のようだ。
またヴィディルはニヤリと笑い、三人の方を向いた。
「ま、俺らがこいつらを片付ければ良いんだけどよぉ。」
「待テ、私だけで十分だ。お前は『時の輪』を壊スのに力を消耗したダろう。
少し休んデいロ。」
少し間をおいてフレアスは聞いた。
「貴様らの目的は何なのだ・・・?
ここのチャオの殲滅か?」
ヴィディルは今度は声を上げて笑った。
「ハハッ!んなこといつでも出来るわ!
そんなことより重要なことだ。教えてやろう。
『フレアス及び額に王族の紋章を持つチャオの抹殺』だ!」
チャオルカは驚いた。
まさか自分が狙われているとは全く考えなかったのだ。
「お、俺!?俺何にもしてねぇよ!
何でこのアザくらいで狙われなきゃ・・・。」
「教えてやろう。王族の紋章は能力の力を高め、
また、力に覚醒した時には神と同等の力を得る。
つまりお前は破壊の神、グラック様の計画の邪魔となる
『危険因子』なのだよ!」
このアザにそんな秘密があるとは本人も知らなかった。
だが、何故そんなアザがあるのかは誰も知らなかった。
「狙うのなら俺だけを狙うがいい。
相手になろう。」
フレアスはそう言うとルシファーの前に立った。
「私を見くびルなよ・・・。
お前でハ私を倒せン。」
「やってみなければ分からないだろう。」
フレアスは炎を起こしルシファー目掛けて飛ばした。
炎は命中した。
命中はした。
だが・・・。
「・・・それデも十二使徒の一人か?
次はこちらかラいカせてもらおう。」
全く平気な様子でルシファーはフレアスに右腕の手のひらを向けた。
「上手くかわサないと怪我でハ済まないだろウな・・・。」
「どういうことだ?」
「・・・こういうことだ。」
なんとルシファーの手のひらが回転して開き、そこから尖った金属製のものが顔を覗かせている。
「何だと思う・・・?
教エてやる。小型の『ミサイル』だ。」
ルシファーは右腕を左腕で押さえ、ミサイルを放った。
ミサイルはフレアス目掛けて勢いよく飛び出し、爆発した。
「粉々か・・・?」
ミサイルは金属製の道路を壊し、道路に溜まった埃を宙に舞い上げた。
爆発の粉塵が宙に舞い、視界は両者とも塞がれてしまった。
ルシファーも相手を確認出来ないでいる。
と、その時。
ルシファーの後ろからフレアスが飛び掛った。
やられたフリをして攻撃を仕掛けたのだ。
手には炎をまとっている。
この攻撃を喰らえば普通のチャオならノックアウトだ。
だが・・・。
「ピピッ・・・後方45°より敵接近・・・。」
「何っ!?」
ルシファーは腕を後ろに回し、そのまま攻撃を受け止めた。
しかも火傷一つ負わずに。
何かが燃えてルシファーから落ちた。
『表面』だ。
水色の表皮が焼けて落ちたのだ。
だが、その表皮の下には銀色に光る肉体があった。
「そう・・・。私は機械の体ヲ持ったチャオだ。
『炎の世界計画』の一遍『チャオ作成計画』により生まレた試作体の数少ナい成功体二人の内の一人、
実験No.R-379『ルシファー』だ。
私の、新発見されたベテルニウム合金の体は炎など通さない。
諦めも肝心だと私は思うがな・・・。」
「炎が通じない・・・だと?
ならば・・・。」
「おっと。お前のもう一つの自然属性の『闇』の攻撃も、
お前の扱い方では効かない。
洗脳された際に、心の闇から手に入れた自然属性ではな。」
炎も通じず、闇も通じない。
これ以上反撃の手立てはあるのだろうか・・・。
つづく