=【炎の世界編】=第33話
「い、今、何が起きたんだ!?」
チャオルカは驚くことしか出来なかった。
何故ならそれを見切る動体視力も無ければ、それが何なのか判断する知識も無い。
「いやぁ・・・ちょっとあのナイトメアの周りの温度を変えてあげただけだよ。
・・・6000度くらいにね。」
その温度を聞いて、また唖然とするしかなかった。
6000度と言ったら太陽の表面並の温度だ。
その後、ナイトメアはフレアスの手で全て倒された。
「これで終わりか・・・?」
フレアスは最後のナイトメアの焼いて言った。
「みたいだな・・・。隠れてる様子は無い。」
「じゃ、そろそろ帰っていい?」
クラゥフは時を見計らってそう言った。
少し急いでる感があった。
時の輪のことだろうか。
「別にいいけど・・・。」
「じゃ、最後に君達にある予言を残してあげるよ。」
~太陽の造りし影は太陽と一体となり新たな道を進むであろう~
~風を受けし木は光を遮り闇を生み出しその絆の真偽を問うだろう
それは通過点に過ぎず小さな障害物に過ぎず、またすぐに治まるであろう~
よく意味は分からないが、運命の神の予言だ。
これほど信用出来るものはないだろう。
「色々と教えてくれてありがとうな。」
「ハハハッ、面白いものを見せて貰ったお礼さ。じゃ、まった今度~。」
クラゥフは時空の裂け目を作り出し、その中へ消えていった。
「ふぅ・・・。まっさか歴史が偽物とはねぇ・・・。
なんだかやばいことに首突っ込んじまったみてーだ。」
「まぁ、仕方があるまい。やるからにはやるしかないだろう。
しかし、そろそろ能力を自在に使いこなせないとまずいかもな。」
そんな事を話していると、二人の背後から迫る影が一つ・・・。
「一体何なのよ、今の!
しっかり説明してちょうだい!」
二人は顔を合わせ、同時にため息を吐いた。
~~~~~説明中~~~~~
「・・・あんた達三人、そんなやばい事してたの!?」
「いや、俺達は別にやばい事は・・・。」
続きを言わせる事を許さない言葉のマシンガンがチャオルカを襲う。
「連れてけっ!絶対連れてって!ビーチャルもいるんでしょ!?
連れて行かないと後でひどいわよ!そもそもあんた達が悪いのよ!
そんな面白そうなところに何で私も連れて行かなかったのよ!」
その言葉にフレアスが反応した。
「チャオルカ・・・この小娘を連れて行くのは絶対に駄目だ。」
「何でよっ!」
「・・・貴様は命を何だと思っているんだ。
面白いだと?そんな訳があるか!チャオは大量に殺されているし、
洗脳され未だ自由に動けない者もいる。
それでも貴様は『面白い』とでも思うのか!」
フレアスの気迫にリリーは怯み、あの気の強さはどこかへ行ってしまったかの様に謝った。
「ごめん・・・。そんな事考えてなかった・・・。
そんなに大変な事だったなんて・・・。ごめんなさい・・・。」
リリーの目からは大粒の涙が零れ落ちた。
フレアスは何だか申し訳なさそうに後ろを向いた。
「・・・こちらこそすまない。突然怒鳴ってしまって・・・。
我ながら大人気ないな、俺は。」
その空気に呑まれ、チャオルカは何を言っていいのか分からない。
一瞬静寂が訪れた。
だが、突然その静寂を切り裂く様な声が聞こえてきた。
「フハハハハハハ!
ナイトメアどもは三人のチャオくらいも殺せないのかァ?」
「奴等が予想以上に強かったのだろウ。フレアスもいル。」
「誰だ貴様等は!」
フレアスが叫ぶと、二人の内一人はニヤリと笑ってみせた。
クラゥフとは違う、邪悪な笑顔だ。
「俺の名前はヴィディルシュヴァツァート!
『滅却破壊』の神、オーグロフ・ヴァルスス様に仕える天使が一人だっ!」
やたら長ったらしい名前なので多分チャオルカは覚えられないだろうが、
天使というのは流石に覚えただろう。
「我が名は・・・実験No.R-379、ルシファー。
・・・悪いが貴様等には死んで貰ウ。」
つづく