=【炎の世界編】=第35話
チャオルカ達の前に現れた天使と機械の体を持ったチャオ。
だが、ここで疑問が一つ生まれた。
『何故地上に機械文明があるのか』
ということだ。
地上は地下に比べ文明の発展は遅いが、代わりに能力を使うので不自由はない。
なので機械が使われるようになるのはもっと歴史が進んだあとのはず。
このルシファーは明らかに地上のチャオだ。
だがその体を構成するのは地下の技術によって作られた機械だ。
グラック神は地下の文明を知っているが、チャオが自分達で進化させた技術を持っているとは考えにくい。
チャオルカとフレアスは、何かの陰謀が隠れていることを悟った。
「き・・・機械の体だと!?」
「そう。我ガ身は機械にヨって構成さレている。
チャオの手でチャオヲ造りだすとイウ神にシか許されナい業だ。
アの方ハ機械に命を与えるコとを考えた。
何故それを考えたかト言うと、この世界の全てノ命あるものを破壊するからなのダよ。」
「何故グラック神はそんなことを考えるのだ?
生物がいなくなったらグラック神の役目も終わりではないか!」
「終わリ?違うナ。『始まり』だ。
炎の世界計画トは、地上―天空に作られた地面―の活火山を全て一度に噴火させ全テノ命を消し去り、次に本当ノ地上―つまりは地下―の用意しておいた、我が同種のAIを暴走さセ、その場の生命も消し去る。
最後には従順な機械ガ残り、天変地異や天罰など与エなクとも良い世界になるノダよ。
つマり、私はそノ計画の第一歩だ。」
「文明が進みすぎた地下は機械に裏切られ、
能力に頼りすぎた地上は自然に襲われるというわけか・・・。
無論、頑固阻止する!」
「出来るモのナらな・・・。」
フレアスは再びルシファーに飛び掛り、顔面を炎の宿った拳で殴りつけた。
だがやはり効き目は無く、後ろに仰け反っただけだ。
「それがお前の本気か?」
ルシファーは見せ付けるように地面を殴った。
すると小さなクレーターが一つ出来上がった。
恐るべき力。更に恐るべきはこんな化け物を作った者。
―絶対に止めなければ
その言葉がフレアスの脳裏を過ぎった。
同時に、クラゥフの言っていた予言も頭に浮かんだ。
~太陽の造りし影は太陽と一体となり新たな道を進むであろう~
「そうか・・・あれはそういう意味だったのか!」
「・・・何?」
フレアスは右手に炎、左手に闇のオーラを宿した。
そして両の拳を静かに合わせた。
すると・・・拳の中心が光を放ち、黒い炎に変わった。
「まサか・・・こんナ奴が・・・能力ノ合成を・・・?」
フレアスは拳を離し、後ろへ振った。
黒い炎は尾を引き、より一層燃え盛った。
「覚悟しろ、ルシファー!」
つづく