=【炎の世界編】=第31話
シェルターはかなりの大きさの揺れに襲われた。
第一シェルター中枢部の記録した震度は5度弱。
震源地は・・・シェルターがある場所より上。
大陸プレートがあるのはシェルターよりもっと下のはずである。
中枢部の技術者達は火山かと想定した。
だが―その場所に火山などはなかった。
「な、何だったんだ今の地震は・・・。」
ようやく揺れはおさまり、落ち着きを取り戻した。
周りを見渡すと屋根が崩れていたり、老朽化した塀などが倒れていた。
「只事ではないな・・・。何かの前兆か?」
するとクラゥフは突然焦りだした。
「ま、まさか『時の輪』が止まったのか!?」
「時の輪?」
すかさずチャオルカが聞く。
クラゥフは慌てた口調で言った。
「時の輪っていうのは地上と地下の時間をずらす為にあるものなんだ。
その輪は二つあって一つは地上の地面の下、一つはここの上にあるんだ。」
「そんなもの何の為に?」
「・・・種族の保存の為さ。
君達が知っている歴史は全く別のものだ。
つまり核戦争なんてものは存在しなかった。
残された者が進化して能力を得たわけでもない。
・・・進化してしまった者が残されたんだ。」
「何故そんなことを?」
「進化した者達は決まって性質は凶暴だったんだ。
元からじゃない。進化した後、凶暴化した。
その者達はその能力で周りのチャオを傷つけるだけじゃ飽き足らず、
ついには大地まで破壊しようとした。
もはや彼等に理性らしいものは見当たらなかったよ。
そこで『破壊神』の出番。
その者達を抑えるべく、天変地異を放った。
とりあえず、天変地異の騒ぎで暫く静かになりそうだったが、もくろみは止まりそうにない。
次に『創造神』の出番だ。
彼は空高くに『もう一つの大地』を作りあげた。
それが君等の言う『地上世界』
実際は『天上世界』だ。
そしてシェルターを元の大地に作り、『地下に逃げた』という記憶を植えつけた。
お次は『生命神』と『運命神』で進化したチャオの性質や生き方を無理矢理捻じ曲げた。
最後は『時空神』が時の輪を創り出し、完了した。
二つの時の輪の間を通り抜けようとすると、
上の時間と間の止まった時間と下の時間の三つに挟まれ、
体はバラバラになってしまう。
なので今までバレなかったのだ。
だけど最近はもう凶暴性のある者は少ないからね、
世界を元に戻そうって案が出てるんだ。
だけど勝手に『時空の割れ目』を作り、行き来している者達がいるんだ。
そいつらのせいで手間が増えちゃったよ。
ま、つまりさっきの揺れは時の輪がぶっ壊れちゃった時の衝撃ってワケ。」
あまりの事実に困惑する二人。
しかし次の驚きは間もなくやってくるのだった。
先程より大分小さいがまた地震だ。
しかし先程より被害が大きくなることとなりそうだ。
何故、と思う方も多いだろう。
簡単に説明しよう。
ナイトメアの大群の襲来である。
つづく