=【炎の世界編】=第13話

前回のあらすじ

情報を聞き出すためにフレアスを蘇生させたビター。
ところが、フレアスはデビルからダークへ変わり困惑する一同。
とりあえず王宮へ向かうチャオルカ達だった・・・。


「おし、ついてこい。」
ビターはそう言うと、走り始めた。
さっきの疲れは無いかのようにかなりスピードを出している。
チャオルカとビーチャルは何とかついていけたのだが、
チャルガは走り出して400メートルほどの
地点でひいひい言っている。
「さ、先行ってて・・・。」
チャルガがそう言うので、二人は困った顔をしながらも
先へ行った。

―なんで僕はここにいるんだろう。

それが今チャルガが考えている事だった。
チャルガはここに来て、全く活躍していないのだ。

最初の学校の火事の時も、ただオロオロしていただけであった。
ビターが襲い掛かってきたときも、
すぐ捕まって宙ぶらりんにされていた。

決定的なのは能力が無い、という事だった。
他の二人はもう能力を手に入れた。
しかも、ビーチャルは使いこなしている。

―何で僕だけ。

学校でもそうだった。
二人は成績は平均以上だったのに対し、
チャルガはいつも点数は良くなく、順位は三桁だった。
スポーツも全くだめであった。
ビーチャルは、シェルター代表に選ばれるほど足が速かった。

―僕は引き立て役なのか。

そう思った。
テレビでも漫画でも、引き立て役というのは必ずしもいるものだ。
主人公は実力トップクラスで、
その仲間はいずれにしろどこかが欠けている。
主人公はその仲間の欠けている所をカバーする。
しかし、カバーされているほうは惨めな気持ちになる。
何であいつができて自分はできないんだ、と。
まさに今のチャルガの気持ちはそれだった。

もう二人は影も見えない所まで行っていた。

―僕はここにいていいのだろうか。

そう考えると、いっそう惨めな気持ちになった。

チャルガは走った。

ここへの入り口と思われる所へ。

その場所は森であった。
ここに来て初めて目にしたのがあの森だった。
あの場所に自分の世界に帰れる何かがあるはずだ。
チャルガはそう思った。
だが、チャルガはすぐに迷った。
見知らぬ場所で迷うのは当然、と思うかもしれないが、
あの森には結界が張ってある。
あの森は神聖な場所なのだ。

迷っているうちに、祭壇のような場所に来た。
その祭壇に手を触れてみた。
すると、何か声が聞こえてきた。

君は逃げてはいけない

逃げている?僕は必要ないと思ったからいてもしょうがない、
だから帰ろうとしているんだ。

君は・・・選ばれたのだ

選ばれた?何の事?

この世界を救う者として

そんなこと出来るわけ無いじゃないか!

それは分からないよ

無理だって!

君だって能力を秘めているんだ

えっ!?

その能力を開花させてあげる

ほ、本当?

もちろん 君の好きな物はなんだい

僕の好きな物・・・音楽!

ほう 音楽か・・・

そうだよ

好きな楽器は?

フルートが得意!

なるほど・・・君には風の能力がいいと見た

目覚めよ この者の力よ!

その声がそう叫ぶと、チャルガは気を失った。



気付くとそこはなにやら城の様な建物の前だった。
もしかしたら、ここが王宮なのかもしれない。
そう思ったチャルガはここで待つ事にした。
それにしても、さっきのは何だったんだろう。
体に変化もないし、特に変わったという所はない。
とにかく、ファントムかビターを待つしかない。
そうチャルガが思った時、誰かの笑い声が聞こえた。
「クスクスクス・・・。」
その笑い声が聞こえた方を向くと、
城壁の上に見たことのないチャオがいた。
「君は誰?」
チャルガが聞くと、そのチャオは明るく答えた。
「僕かい?僕の名はウィンドルフ・ガルガン。ウィンでいいよ。」
そう言うと、ウィンは降りてきた。
「君はどこから来たの?」
「どこと言われてもなぁ・・・。」
ウィンは少し困った顔をしていた。
「まあそのうちまた会うだろう。バイバイ!」
それだけ言って、どこかへ行ってしまった。

今日は不思議なことが多いな。

チャルガはそう思っていた。
そして、皆が来るのを待っていた。
そこが全く違う場所だとも知らずに・・・。


つづく


あ~風邪って辛いですねぇ~。
頭が痛い・・・。
あ、私のことはどうでもいい?
そうですね(蹴
感想お待ちしています~☆

このページについて
掲載号
週刊チャオ第37号
ページ番号
13 / 41
この作品について
タイトル
パラレル・チャオ・ワールド
作者
ドロッパ(丸銀)
初回掲載
2002年10月7日
最終掲載
週刊チャオ第86号
連載期間
約1年19日