第4話

ばらだいす・アイランド~余命三日の冒険記~第4話

ペッツとヴィンの2人は、さっきに増して険しいジャングルのなかを突き進んでいた。
ルーベルを連れ去っていったでっかいものは、こっちの方向へ飛んでいったからだ。
だが、その先はなにかいやがらせでもしてるかのごとく、その方向だけジャングルが特に険しかった。
そのとき、木の陰からなにかの鳴き声が聞こえてきた。
「なんだ....?」
ヴィンが先にそちらのほうをそ~っとのぞきこんだ。
ペッツもそれにつづいた。
そこには....
「あら、お二人さん、どしたの?よくこれたわねぇ~」
けろっとした声が返ってきた。
そこにいたプテラノドンのヒナのようなもの達の中央に、ルーベルがいたのである。
傷一つなく、楽しそうにヒナとじゃれている。
「なぁ、どっかのアニメ映画でこんなルーベルみたいなキャラいなかったっけ....ファインディングなんとかとか言うヤツ....?」
ヴィンがあっけにとられていった。
「ってか何してんの?さっさといこうよぉ!」
ペッツがルーベルのうでをひっぱった。
「あ、そのままいっちゃ親方にわるいでしょ!親方ぁ~!」
ルーベルが後の茂みのほうに声をかけた。
すると、さっきルーベルをさらっていったプテラノドンらしき恐竜がさっとその茂みからとびだしてきた。
「ねえねぇ、親方、私達もうそろそろ行かなくちゃいけないの~。えっと、なんだっけ....そう!黄金の木苺の実ができる木のある泉に!親方、それ、ドコにあるか知らない~?」
ルーベルがそのプテラノドンに言った。
「あぁ、それかぁ、それならこっからちょうどまっすぐ北にいったところにあるさ。」
.....プテラノドンがチャオ語を喋った。
しかもルーベルはその後たんたんとそのプテラノドンと会話をつづけている。
「ち、ちょっと、ルーベル、コレ、どーいうことだよ!」
ヴィンがルーベルの腕を小突いた。
「あ、あのね、しばらくの間この子たちの子守してほしかったんだってぇ~♪ね、この子達、かわいいでしょ?」
ルーベルがそのヒナたちを指差した。(チャオに指ってないけど....)
どう見ても、そのヒナたちはかわいいとは言いがたい。
むしろ、うまれたてのサルに似ていた。
でも2人は無理矢理笑顔を取り繕った。
「あ、君たち、不便かけてごめんよ。これはお詫び+礼だと思ってくれ。」
そのプテラノドンは、スッと羽ばたき、宙に浮き上がり、3人を足でつかみ、北、つまり泉のほうへ一直線に飛び立った。
「ホラ、観覧車みたいでしょ?」
ペッツがはしゃいで言った。ヴィンのほうを振り向くと....ヴィンがブルブル震えている。
しかも今にも泣き出しそうだ──ヴィンは、高所恐怖症だったのだ。
「ハハハ、だ~いじょうぶ、いまからおりるって!」
プテラノドンが助走する前のような体制をとり、空を走るように一気に急降下した。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~!!!!!」

「じゃ!さよならぁっ♪」
プテラノドンがそう言って軽く飛び去った跡の所に、ヴィンが半泣きで地面につぶれたように倒れていた。
「あはは、やっぱだれにも弱点ってのはあるもんなのねぇ~☆」
ルーベルがヴィンをちょんっと小突いた。
「....わぁぁ....」
ペッツが声を上げた。
その声でヴィンとルーベルもそっちのほうを向いた。
・・・・・そこには、広大で、とてもきれいな泉のなかに生えた、一本の木苺の木があった。
そして、その中に、黄金に輝く木の実があった.....

このページについて
掲載号
週刊チャオ第102号
ページ番号
5 / 7
この作品について
タイトル
ぱらだいす・アイランド~余命三日の冒険記~
作者
ぺっく・ぴーす
初回掲載
週刊チャオ第98号
最終掲載
週刊チャオ第105号
連載期間
約1ヵ月19日