第2話
ぱらだいす・アイランド~余命三日の冒険記~第2話
「あ~.....今って戦闘中?」
ペッツが慣れない手つきで杖を構えながらいった。
「....馬鹿か、キミィ!こんなインパクトある途切れ方で終わって始まろうとしたのになんで忘れるんだぁっ!台本読んだのか!?」
木の枝の上にいるチャオが、クルっとバック宙をしながら後の枝に飛び移りながらいった。
そして、枝に降り立つなり、だいぶ慣れた手つきでペッツがもっているのと同じ杖を構えていた。
結局、予備を持っていたのだ。
「読んだよう....ホラ、ちゃんとこうやって書いてあるよ。『「あ~、今って戦闘中?」』って。」
ペッツは台本をどこからともなく取り出し、それをそのチャオに見えるようにかかげながら言った。
「あ、ついでに君の名前は....うん、レレバっていうのね。」
ルーベルが台本をのぞきながら言った。
「ち、ちがうっ!ぺっくのヤツめ、俺の名前間違えるなっ!それはともかく....杖返せ!!」
レレバ(仮)が手を差し出しながら言った。
「え...くれたっていいじゃん、予備もってるし、だいいちこんなの非売品だからどこの店でも売れないよ?」
ペッツが杖をまじまじとみながら言った。
「むぅ....言ってもわからんなら力ずくでっ!シュークリーム!」
そうレレバ(仮)が言うなり、レレバ(仮)の杖の先端からまん丸な小さな玉がたくさん飛び出てきた。
「あわわわっ!!」
ヴィンがあたふたと玉をよけ、ペッツとルーベルも自分へ向かってくる玉を同じようによけていた。
「あー、ナルホド、ペッツ、シュークリームってとなえればあーいう魔法がつかえるみたいだぞ!」
ヴィンがペッツにこっそり耳打ちした。
「あ、なるほどぉ!シュークリームッ!!!」
ペッツがレレバ(仮)の十倍はあるほどの大きな声で唱えた。
すると、杖先から、さっきレレバが出した物と同じ、さっきの10倍はある数の玉が、10倍の威力で、10倍のスピードでレレバ(仮)にむかって飛び出した。
さっきの普通の玉でさえ、あたふたしながらよけたのである。
その10倍の数の玉がよけられるわけがない。
レレバ(仮)は玉に突き飛ばされ、ドサっと鈍い音をたてて、木の枝から落ちてしまった。
「あ~...大丈夫かなぁ....?」
3人はそろそろと、気を失って倒れているレレバ(仮)に近づいた。
そして、レレバ(仮)の顔を覗き込もうとしたとたん、バッとレレバ(仮)が飛び起き、とっさに土下座した。
「お坊ちゃま、お嬢様方!まことに申し訳ありません!!降参です、降参~っ!」
レレバ(仮)がメイド口調で言った。
3人は、ずいぶん驚いた。
絶対反撃してくると思ったのに、この状態。
レレバ(仮)が頭を打ってヘンになっているんじゃないかと思った。
「どうぞ、コレをお持ちください!!私が補充しておいた調度3人分の水と食料でございます!その杖もお使いください!どうかお許しを~!!」
レレバ(仮)がカバンを差し出しながら言った。
「あ、あのさ、ところで君はどうしてこんなとこに?」
ルーベルはレレバ(仮)に近づいて聞いた。
「津波に流され、ここへ流れ着いたのですが、砂浜に「転生の木苺」について書かれた石盤がありまして...その「転生の木苺」を探していたのですが...」
3人は顔を見合わせた。転生の木苺...ペッツにピッタシだ。
「ねぇねえ、その石版、ちょうだい!」
ペッツが手を差し出した。
「どうぞ、これでございます...」
レレバ(仮...もうめんどくさいや。)が殿様に食事を出すように、ペッツに石盤を差し出した。
「それでは、私はこのあたりで失礼させていただきます。私めの島へ帰るので....あと、私めの名はレレバではなくビビンバでございます。それでは。」
ビビンバ(これが正しい)が3人に一礼して、砂浜のほうへ走り去っていった。
「...あのチャオ、どうやって帰るのかしら...遭難したんでしょ?」
「ってかビビンバよりレレバのほうがずっといいよな...?」
するとルーベルはハッと我に返ったように、
「ってそれどころじゃないわよ!聞いた!?転生の実だって!」
といいながら、石盤を拾い上げた。
「えぇ~っと...コレを読まなきゃね...」
3人は石盤をのぞきこんだ。