第一話

ぱらだいす・アイランド~余命三日の冒険記~第一話

「ふ..ふぅ~、やっとついた....」
3人は、島の浜辺にうつ伏せにねっころがっていた。
そう、島に着いたのだ。
「でも、これって....おもいっきし無人島だよな?」
ヴィンが島を見回しながら言った。
たしかに、建物らしき物も見えないし、人もいないどころか、聞こえるのは風の音と、波の音と、あとは動物の鳴き声ぐらいだった。
おまけにここはすごく暑く、あるのはジャングルと馬鹿でかい火山だけだ。
「....ハズレ、ってやつね....他に島は何も見えないわ...とりあえずココで助けをまちましょ。」
ルーベルがため息混じりに言った。
「と、とりあえず、水ぅ~~!」
ペッツがジャングルの中によろよろと走っていった。
残された二人は、ペッツの後を追って、いっしょにジャングルへと入っていった。

一時間後...
「ひぃぃ~、たしかにこっちから水のにおいがするのに、なんでないのよぅっ!」
うっそうとおおい茂るジャングルの木や草を、掻き分けながら3人は進んでいっていた。
そう、たしかに水のにおいはこっちからするのに、ぜんぜん池や川が見当たらないのだ。
「あっ!あそこ!」
ルーベルがとても背の高い木の、上のほうを指差した。
「あそこ!木の実があるわっ!ヴィン、あんたとれない?」
「バカ!俺でもあんなのとれないっつ~の!」
ヴィンがルーベルを小突いた。
「あれ、ナニこれ....?」
二人のやり取りを見ていたペッツの足元に、なにか杖らしき物がおちていた、ってかこれは紛れもなく杖だ。
それも、だいぶ使いやすい、高級品だった。
「お前、ラッキーだな!それ、かなりイイ品だぜ....」
ペッツは上の木の木の実を見つめた。
魔法で、あの木の実を取ろうと思ったのだ。
だが、魔法を教えてくれる幼稚園は、かなりいいエリートな幼稚園のなかでもごく一部だけだ。
それどころか、3人はノラチャオである。
杖を扱えるわけがない。
「なぁ、とりあえずなんでもいいから呪文みたいなの言ってみたら?」
ルーベルが言った。
ペッツは、ちょっと考えてこういった。
「ん~....ぺぺのぴばび~!」
....何もおきない....ってかそれじゃあ当たり前だ。
「......おまえさぁ....どうやったらそういう言葉が出てくるんだよ....」
「それじゃぁね....すぺじあー!....あ、ダメ?じゃあ....おいまいぬー!しじまー!でびむー!!」
...やっぱり何もおきない...
「アンタなにがしたいのよ....それで呪文になるんだったら天地がひっくりかえるわよ....!」
「あ~ん!もうおなか減ったよう!ビスケット~!!」
「なんでそれがでてく....!?」
ヴィンがそういい終わらないうちに、ペッツの持っている杖の先端から、光がとびだした。
とたんに、その光に触れたものは全部スパスパに切れてしまった。
「........」3人は呆然と光が飛び出したほうをぼ~っと見ていた。
「.....あんでいいのか....?」
「ねぇ、もういちどやってみなよ.....」
ペッツは杖を木の実のかかっている枝に向け、さっきと同じように、
「ビスケット!」
と唱えた。
すると、また光が飛び出し、木の枝がきれ、ドサッと音を立てて落ちてしまった。
「やったぁ!アンタ、これは役に立つよ!それに、コレ....木の実だぁ!」
ルーベルがそういったのと同時に、3人は落ちた枝の方へかけより、木の実をむしりとって食べ始めた。
「よかった~、これ、水分たっぷりぃ~!」
「うめぇ!やっぱ加工木の実より天然のほうがウマイぜぇ!」
「うん、これならいくらでも食べ....」
その時、
「あぁぁ~!!!?それは俺様のっ!」
と、上のほうから声が聞こえた。
見上げると、木の上に一人のチャオがいたのだ。
「それは...それは...俺様が3分25秒前に落とした杖だ!!かえしやがれぇ~!!!」
そのチャオは木の枝から飛び降り、3人に襲いかかってきた!

このページについて
掲載号
週刊チャオ第99号
ページ番号
2 / 7
この作品について
タイトル
ぱらだいす・アイランド~余命三日の冒険記~
作者
ぺっく・ぴーす
初回掲載
週刊チャオ第98号
最終掲載
週刊チャオ第105号
連載期間
約1ヵ月19日