第2話「昼メシタイム」

俺とラスの事件簿 第2話 昼メシタイム


昼休み。

今日は校内の食堂でランチする気分じゃ、ないので 売店でサンドイッチとコーヒーを購入。
今日の日替わりランチは好物の生姜焼きだったから、惜しい気もするが。

ウチ学校は私立だが、有名な進学校でもなく、有名なスポーツ校でもなく、学力並、平凡な高校だ。
一応、幼稚園から大学までのエスカレーター式なんで、金持ちが3割、コネ3割か。
制服もあってないよーなもんだし、まぁ、自由な校風がウリといっちゃあ、ウリだよな。
あ、食堂のランチは安くてうまい!
他に特色といえば、海外に研修センターがあって、イギリスとアメリカかな?
希望だして指定の条件と専用試験にパスすれば、1ヶ月~1年、向こうで勉強できるシステムだ。
海外姉妹校も多数あり、留学生クラスもある。
と、ホームスティ、ボランティアが活発か。

俺は興味ないが。

親父と理事長が親友なのは表向き秘密だが、学校側の人間は全員承知の事実と思う。
特別扱いは一見されていないが、俺にとっちゃあ、居心地のいい所だ。
チャオクラブなどというものを作って、部長をしている。

「よぉ!見つけたぜ、功!」

ふいに背後から声が。

「一緒にメシ食おーぜ!!」

ニヤニヤ笑いながら焼きそばパンとカレーパンとアンドーナツとバナナオレ抱え込んできたのは、勝浦 健だった。

「おう、健。あそこに行こう」

コイツは幼稚園からの腐れ縁。
ガリ頭で四角い顔に太い眉。
同い年とは思えない180センチに鍛え抜かれた筋肉のごっつい体。
ボクシング部の部長なだけはある。

俺達は新校舎北門側の非常階段に腰をおろし、食事をはじめた。

「先週の試合、準優勝だってな。すごいじゃないか」

「ああ、最後は判定負けさ。あんな奴KOできねーなんて、オレ様もまだまだって事よ!!
功こそ、昨日日本一頭のいいチャオなんて、すげーよ!んー、功がすげぇんじゃなくて、ラスがすげぇのか!ガハハハハッ!!」

「そ、そーか?ははは。(少しは俺の育成もいいとは思わんのか?)」

「それより、チャオクラブの部長さんよ、朝のニュース見ただろ?」

「ん」

「今夜メンバーの緊急収集かけねーか?」

「ほう、それもそうだな」

「オレ様としちゃー、この事件、大いに興味あるね! オレん家のカメハメは誘拐なんてされっこねーけどサ!」

つーか、お前の報復が怖くて、俺なら絶対お前んとこのオニチャオだけは狙わねーな。

「お前にしちゃー、気が利く提案だな。さては、純にふきこまれたろ?」

「はははっ!まー、そんなとこだ!さすが部長!まるっとお見通しだな!」

みえみえさ。ジャーナリスト志望の純が飛びつくネタだもんなー。お前ら同じクラスだし。
ついでに俺のラスがテレビに出た話も聞きたいんだろーが。次の集会までまてねーのかよ。

「じゃー、決まり!いつもみたくオレ様ん家に8時集合だ!連絡頼むぜ」

「ラジャ了解」

そう、クラブといっても実際の活動のほとんどが学校外で行っているのが実情。
なんせ部員が俺以外、他のクラブの部長、副部長かけもちで、多忙なのだ。
要するに一番暇な俺が、連絡係り、雑用係りの、肩書きだけ部長って事。

コイツの他は、
記者クラブの横山 純
水泳部の内田 博
陸上部の安藤 英二(コイツだけ1年)

みなそれぞれ自慢のチャオを育てていて、信用できる、いい奴らばかりだ。
本当は計5名しかいないクラブなんて成り立たないはずなんだが、そこは俺のコネで顧問の先生に協力してもらった。
顧問は福永 沙織。生物の先生で、俺の親父の後輩だ。
チャオ国立研究所の会員でもある。
俺が尊敬する数少ない人物の1人。
この人のアドバイスのおかげで、俺のラスはナイツに成長できたよーなもんだ。
俺は他の部員にメールを打った。

「さーて、そろそろ戻ろうぜ。・・・功、今夜必ずラスをつれてこいよ?」

って、健のヤロー、それが狙いか!
ラスは今日、チャオカラテの練習相手にさせられんのかー。
まいったな。ハンデつけてくれるよう、交渉しなきゃなー。

チャイム5分前。
急ぎ足で教室に戻る人ごみにまぎれ、例の美少女、後藤を見た。

「ふふん、いい女だよな」

健がポツリと呟いた。
2組でも有名なのか。まぁ、目立つからなー、彼女。
そうだった・・今日の放課後・・・。

なんか、今日はやけに忙しいな。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第118号
ページ番号
3 / 9
この作品について
タイトル
俺とラスの事件簿
作者
ピース
初回掲載
週刊チャオ第117号
最終掲載
週刊チャオ第119号
連載期間
約15日