第1話「謎の美少女」

俺とラスの事件簿 第1話「謎の美少女」


俺の名は高柳 功、高校2年だ。
親父はS大学所属の生物学者。詳しい専門は俺もよく知らない。
おふくろは俺が12の時病気で他界している。
今は親父とラスが家族だ。
おっと、鈴木里香さんという大事な人も忘れちゃいけないな。
彼女は俺んちの家政婦さんで、平日の昼間、ラスの面倒や、家の事をやってくれている。

俺は満員の電車にゆられながら、今朝の衝撃的なチャオ誘拐のニュースのことばかり考えていた。
駅から降りて学校まで徒歩で約10分。
いつもの日課で歩きながら携帯のメールを開けた。

おわっ!!
着信メールが31件かよ。
全部ネットで知り合ったチャオ仲間からの「おめでとうメッセージ」だ。

・・・!!

やべー。
昨日が例のテレビの放送日だったんだよな~
ラスに碁を教えてて、すっかり忘れてた。
確か録画セットしておいたよな。
なんか学校行くのが今更恥ずかしいな・・。
まぁ、あんな事件があっちゃあ、俺の話題も影が薄いか。

なんて思う間に校門が見えてきた。

「ん?」

メール最後の31件目・・・。

『今日の放課後、大事な話があるから教室に残っててほしいの。お願いします。メールでは始めましての後藤有紀より』

驚いた。
なんであいつが俺の携帯のメアド知ってんだ?
俺は即座に返信した。

『OK』


教室に入ると、女子共が今朝のジュエルチャオ誘拐事件の話で大さわぎしていた。

「絶対許せないー!あのかわいいチャオを誘拐するなんてぇ」

「ほんと、ほんと。チャオも飼主もかわいそう~」

「犯人ってまだ捕まってないんでしょ?ひどい目にあってなきゃいいけど・・」

「あたし、あのアクアマリンのチャオって、見たよ!昨日のテレビに出てた!」

「マジー!?あたし塾だったから見逃した~」

「マジ、マジ。めちゃかわいいミズチャオだったよ。でも準決勝で負けちゃって・・あーーーーーっ!」

うっ。
やばい。

「高柳君のチャオが優勝したんだよ!!」

「ええええええーーー!!??」

と、クラス中の視線がいっせいに俺に集中した!!
あっというまに女子達・・いや、野郎もまじっていたか。の群れに囲まれ、質問攻めにされてしまった。
俺は適当にあしらうと、トイレとしょうして教室から脱出した。

HRまで戻れないな・・。

と、廊下の進行方向から彼女が歩いてきた。
今朝の意味深なメール主、後藤有紀だ。

背は俺より少し低いが168ぐらい。
髪はストレートロングで、ルックスははっきりいってタイプ。かなり美人と思う。
先月カルフォルニアから転入してきたばかりの帰国子女でまだ謎が多い。

俺はまだ直接話したことはない。
先生やクラスメートの信頼は何故か厚く、まだ1ヶ月とは思えないほど、すっかりクラスにとけこんでいる。
美人でスタイルがいいのに加えて、バスケがうまいらしいし、頭もよさそうだ。性格も今のところ悪い評判は聞かない。
俺とは縁のなさそうな、完璧によくできた人種だよな。

俺は多分動揺していたと思う。
心臓の鼓動がやたら大きく聞こえた。
なんせ、女からの誘いなんて、まったく免疫がない。

「おはよう、高柳君」

彼女はすれ違いざまにあっさり一言いうと、さっさと教室に入ってしまった。

・・・。

なんか緊張して返事の挨拶も返せない自分に笑えた。
まぁ、無理もないか。
大事な話しがなんなのか、気になるところだが、まさか?いやいや、まさかだよな~
あるわけないって。そんな漫画みたいなうまい話。
と、自分に言い聞かせるものの、少しは期待してしまう自分がなさけない・・・。

すべては放課後になればわかることだ。



続く・・・。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第117号
ページ番号
2 / 9
この作品について
タイトル
俺とラスの事件簿
作者
ピース
初回掲載
週刊チャオ第117号
最終掲載
週刊チャオ第119号
連載期間
約15日