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「姿」
チャオが繭に包まれて1分は経つだろうか。
「・・・・・。」
俺はその繭をさっきからずっと見ていた。
どんなチャオに進化するんだろうか?俺の頭の中はそれでいっぱいだった。 そして更に1分後。
「・・・?」
チャオを包んでいる繭が透き通ってくる。白から透明に、少しずつ透き通り、やがて繭は見えなくなった。
「・・・・・」
俺はその光景に声も出ない。まあ、どっちかと言うとその光景に驚いたと言うか、進化したチャオに驚いたんだが。
「これが・・・あのチャオ・・・?」
なんと、あの水色で丸っこかったチャオが、黒くて後頭部が尖っている、全く見た事の無いチャオに進化していたのだ。
「・・・何か、」全然違うチャオになったような感じだな・・・。でもお前、前より格好良くなったぞ。」
俺がそう言うと、チャオは恥ずかしそうに笑った。
「・・・そーいや、前のテレビで進化後の姿はチャオが何に適しているかで違うとか言ってたな・・・。お前、何が得意だ?」
何気にチャオに問い掛けた。・・・返答は期待してなかったが。
「??・・・♪♪」
すると、チャオは最初首をかしげたが、意味が解ったらしく走るジェスチャーをして見せた。
「そか、走るのが得意なんだな??」
そう言われてみればそうだな・・・と思う点がこいつには幾つかあった。
まず1つは、前、俺が本屋をハシゴした時、俺はついチャオの事を忘れて早足でずっと歩いてしまったが、
こいつはそれでも一生懸命走って俺についてきた。
人間の歩幅とチャオの歩幅はかなり違うから、チャオは自分の足を人間の数倍も動かさなきゃいけない。
そう考えると、あの時点でこいつはかなり足が速かっんだろうな。
もう1つはカオスドライブ。今日こいつが飲んだのは、緑のカオスドライブ。緑は走る能力が上がると言っていた。
あれ1つで能力がそんなに上がったとは考えられないが、それも1つ。
「ま、それにしても無事に進化できて良かったな。」
俺はチャオを優しく撫でる。
「・・・・?もう夜か・・・」
ふと窓を見ると、いつも見える景色は夜の闇で見えなくなっていた。こいつも眠いだろうし、そろそろ俺も寝るとしよう。
・
翌日、俺は友人と会う約束をした。どうやらあいつのチャオも進化したらしい。
あいつのチャオがどんな姿になったのか興味があるからOKしたようなもんだが。
「さ、行くぞ」
勿論俺もチャオを連れて行き、早速待ち合わせ場所に向かった。
まあ、前に行って散々な目にあった、あのレストランなんだが・・・。