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「招かれざる客」
朝の街は、会社に行く大人達で賑わっている。
「こーゆー人ゴミって嫌いなんだよな・・・。」
と愚痴りながらレストランへ向かった。そして、レストランに向かう道中の事。
「キャーーーー!!可愛いーvvこの子、シャドチャね?どうやって育てたの??」
「いいなーシャドチャ。可愛いー!!」
年齢は俺と同じ位だろうか。まあ16、7だろう。
「ああ・・・ど・・どうも。」
俺はいきなりの事に驚き、まともな返事を返せなかった。
・・・・にしても、シャドチャって??
そんなこんなで、やっとレストランに到着。席には既に友人が座っていた。
「よ、チャオの調子はどうだ?」
「やっと進化したんだけどさ。俺のチャオ、かなり黒くなったんだよな・・・。」
友人がチャオのことを聞いてきたので、俺は友人にチャオを見せた。
「!!!!・・・それ、シャドチャ!!?」
「へ??」
なんでそんなに驚くんだかな・・・。
「いいなーシャドチャ。シャドチャって珍しいんだぜ。どうやって育てたんだ??」
「偶然。」
即答。こいつといい、さっきの人といい・・・シャドチャって何なんだ??
「へえ、お前らしいな。でも、いいなー・・・。」
「そーいや、お前のチャオはどうなったんだよ??進化したんだろ?」
同じ事を何回も聞いて、何か疲れてきたので、こいつのチャオを見てさっさと帰ろう・・・と思った。・・・が。
「♪♪♪♪♪」
突然俺のケータイが鳴り始めた。
「誰だろ」
俺がそれに気付き、ケータイを取ろうとした瞬間。
「ピッ」
「あ゛」
・・・・・・・・・。
なんと、チャオがケータイの電源を切ってしまった。
チャオに悪気は無さそうだが・・・。(大体チャオは電源ボタンなんて知らないだろうし。)
どうやらこいつ、ケータイの音に驚いてボタンを押してしまったらしい。
「・・・・はは」
チャオが、何かいかにも『生き物』らしいリアクションをするので思わず笑ってしまった。
チャオって・・・・・・
可愛い。
外見とかだけじゃなく、その行動までも。
「??どーしたんだ?お前が笑うなんて珍しいな。」
・・!ボーっとしていた俺は、友人の声で我に返った。
「え?そうか・・・?いや、別に大した事じゃないさ。で、お前のチャオは?」
「そうそう・・・。えっと、こいつ。なかなか可愛いだろ?」
俺が改めて質問すると、友人はチャオをテーブルの上に上げた。
「へえ、いいじゃん。それは何ていうチャオ?」
「ノーマルチャオ・・・ってとこだな。属性ニュートラル、タイプはノーマル。」
「へーーえ。」
ニュートラルだか何だかは理解できなかったが、要はノーマル・・・普通のチャオって事だろう。
その『普通のチャオ』ってのがどんなのかは知らないが、何となく納得した。
「あー・・・後、1つ聞きたいんだけどさ、シャドチャって何だ??」
「・・・お前の無知さには呆れたよ。・・・シャドチャってのは、属性ダーク、タイプはハシリのチャオの事を言うんだ。
シャドチャは、あるゲームのキャラクター『シャドウ』って奴に似てるって事で、巷では『シャドチャ』って呼ばれてんだよ。」
「へー・・・有難う。・・・そうだ。折角レストラン来たんだし、何かおごるよ。情報料って事で。」
最近食欲が無かったが、今日は珍しく何か喉を通りそうだった。
「え!?マジ?やった!」
友人は、言うが早いか早速チャオに木の実、その他料理を次々と注文する。2匹のチャオも嬉しそうだ。
・・・何故か、今日は来てよかったと思えた。
でも、あの電話は何だったんだ?・・・まあいいか。
・ ・
そして家に帰り、休日を俺とチャオで過ごした。
一緒にテレビを観たり、本を読んだり・・・。チャオに絵を描く事を教えたりもした。
「これがクレヨン。これで紙に絵を描くんだ。」
「♪♪~♪」
俺が教えると、チャオは紙に絵を描き始めた。
花・・・のような物をしばらく描くと、それを俺に渡してきた。どうやらこの絵を俺にくれるらしい。
「お、有難う。」
俺はチャオを撫でてやる・・・・なんて良い休日だろう。
このままこの生活がずっと続くと良い・・・俺ははだんだんそう思う様になってきた。