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「苦悩の日々」
「・・・・・・。」
俺はチャオを連れて街へ出た。チャオは初めて車やビルを見るのか、キャッキャッとはしゃいでいる。
俺も久し振りに都会へ来た感じだ。 ・・・・へえ、あいつの言う通り皆チャオを抱いてら。
俺は暫く通る人のチャオを観察する事にした。それにしても色々な色の奴が居るんだな、チャオってのは。俺のチャオと同じ水色、それに白や黒、茶色、青、金色の奴まで居る。
俺のチャオもあんな風に色や形が変わるんだろうか???
・・・チャオを育てるにあたって、もっとチャオの事を勉強しなければならないらしい。
「・・・あれ?チャオは?」
なんと、俺が少し目を離した隙にチャオがどこかに行ってしまった。あいつ、どこ行ったんだ??
俺は焦って周りを見回す。
・・・だが、焦る必要は無かったらしい。チャオはすぐ見つかった。
「全く、勝手に・・・」
俺はチャオを叱ろうとしたが、チャオの視線をたどって行くと、あることに気付いた。
チャオの視線の先には一軒のレストランが。
「・・・・・。」
そうか。朝から何も食べてなかったからな・・・。
「たまには入ってみるか。」
俺がそう言うと、チャオはニッコリ笑った。
「いらっしゃいませ。2名様ですね?あちらの席にどうぞ。」
2名様・・・?って事は、このチャオも入ってるのか。
「あの・・・チャオって良いんですか?入っても。」
俺は素直な疑問をぶつけてみた。だってここは普通のレストランだろ?チャオが入れなくても疑問は無い。
だが、ウエイトレスの人は淡々とこう続けた。
「ええ、良いですよ。最近は殆どのレストランがチャオを連れて行っても良いみたいですね。」
「はあ・・・どうも。」
・・・一体いつからそうなったんだか。 ま、最近忙しかったししょうがないか。
「朝から何も食べてないけど別に今も何も食いたくないな・・・・・。」
そう言いながら俺は席に付いた。
「何が良い?」
・・・とチャオに言っても返事が無いから俺の独り言みたいで何か哀しい。
・・・待てよ??「何が良い?」の前に、チャオって何食べるんだ?・・・それ位知っとくんだった・・・。今から調べる訳にもいかないしな・・・・。
「後悔先に立たず」とはまさにこの状況の事を言うんだなあと心から思った。