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「なんちゅうことだ」
チャオガーデンは、燃えていた。成績とかいうやつが悪かったのだろう。ちきしょう。チャオ達は大丈夫か?確か、小さな池があったはず。そこに全員逃げていれば良いのだが…。俺は火をなるべく避けながら池の方まで走った。
「ちゃ、ちゃおぉぉ…」
池に着いた。かなり弱々しい声だ。俺は今でこそ人間の体だから火傷が数カ所できただけだが、チャオとなるとそうともいかないのだろう。さらに、池の水位は下がっている。この暑さでは長くはもたないだろう。俺はチャオの数を数えた。
「一、二…六か」
確か、このガーデンには八人チャオがいたはずだ。つまり二人、いや、一人が逃げ遅れたってことか?後一人?そんなもん放火される前日とその日の境に死んでいったおかしなチャオに決まっているだろうが。とにかく、そのチャオを探さねば。
「とりあえず、燃えていない所を探すか…」
ひたすら火を避けながら俺は歩いた。飛び散る小さな炎は俺の体にぶつかり、火傷となっていく。痛かった。が、今はそんなことを考えている暇はない。見つけなければ。それと、俺の飼い主さんよ。死んだらすまんな。勿論、死ぬ気はないけどな。
「くっ、いねぇ」
歩いているうちに池に戻ってきていた。チャオの数に変化はなく、ただただ弱っていくのみ。おそらく、もう一人は火の中だ。チャオが生きている保証や俺が生きて帰れる保証はない。だが、耳はわずかな音を聞いた。確かに聞こえたのだ。チャオの弱った声が。何故聞こえたのかはわからない。気休めというわけで神様がくれた、もしくは俺の命を絶つために死に神がよこした空耳かもしれない。だが、俺の思考はそんなことで悩んでいるほど正常ではなかったのだ。とにかく、池に飛びこみ、体を濡らした。そして、火を睨んだ。
人間ってのは、火に強いのか?いや、そんなことは考えている暇はなかった。俺は火の中に入った。火が俺を焼き尽くそうとしてくる。それと同時に増えていく火傷が俺を襲った。走るスピードは痛みが強くなる分遅くなる。最終的にはフラフラと歩いている状態だ。そして、見つけた。チャオを。ぐずぐずしている暇は無かった。俺はチャオを池の方向へ……投げた。
「すまん。俺の飼い主さんよ。あんたの命も同時に絶つはめになったらしい」
そして、薄れていく意識の中、俺は池の方向へ、いや、池の方向かどうかもわからないが歩いていった。しかし、途中で意識は完全になk……