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「ちっ、歩けるが…手が上手く動かせねぇ」
歩くことはいいのだ。何故って?五本指を利用するわけでもないからだ。むしろ、足の一部が曲がるわけだから便利なわけだ。だが、五本指を使って何かを掴むことはできるが、器用なことはできそうもない。

「あ、ガーデンに行かんと、あいつら餓死しちまう。行かねば…ってどこにあるんだ?」
そう。そこが問題だ。まぁ、一日放置されたことがあったが、時々木から木の実が落ちてくるので大丈夫だった。そういうわけで、行かなくても大丈夫だろう。まぁ、それより手だ手。手の動かす練習をしなければ……。ん?何だこの本…あぁ、漫画というやつか。どれどれ…ん?なんだこれ。何か持って、それで食ってるぞ。え?箸?なんだそりゃ。俺はそこらへんに置いてあった鉛筆二本でそれの練習をしてみた。それが大体形になっている時には、五本指の感覚にも慣れていた。


「くそぉ。学校ってどこにあるんだ…チキショウ」
さて。今日は終業式とやららしい。何だそれは?で、学校とやらはどこにある?っと、扉があるな。入ってみよう……
っと。見慣れた風景…ということは…

「ヤバッ。ここチャオガーデンか」
「ちゃ、ちゃおぉ~」
と、チャオがフラフラしながら寄ってくる。俺達はいつもこんな風に喋っていたのか…。俺は喋り方が格好いいとか言われたことがあるのに、人間が聞けば、可愛い声で「ちゃお~」か。ちゃお~か。ちゃお~。俺はとりあえず素早く木の実を与え、ガーデンから出て行った。

「お~~い!お待たせぇぇぇ~~い~~!!」
「遅いぞ……遅いよ~~」
それと言葉遣いにも注意しなければならない。なんとか口調は真似できる。他人になる事(特に人間)は結構辛いもんだな。

「どうだ~?チャオの様子~?何かあったか?」
「ん…あぁ、チャオが一人死んだよ。他は大して変わってないね」
自分で自分の事を死んだ。と言える者など俺のような経験をしない限り言えないだろうな。なんか可笑しい。さりげなく、この飼い主の友人を少し前にして道がわかるようにする。そうすれば学校とやらに着けるだろう。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第131号
ページ番号
2 / 5
この作品について
タイトル
「俺の一日人間体験記」
作者
スマッシュ
初回掲載
週刊チャオ第131号