2話目
呪われたタロットカード
「むぅ~・・・」
ラズリ一族が住んでいる神殿の扉を開けた、いや破壊した少年とチャオ。
その前につながるのは果てしないほど長い廊下だった。
「・・・化け物でも住んでたのかよ。この神殿。」
オニキスはもう慣れたとでも言うようにため息をついた。
「化け物などは住んでいない。まあ体長4、5mくらいのドラゴンならペットにいたが。」
「それを普通に言うお前のほうが化け物だ。」
すかさずオニキスは突っ込んだ。
しかしもう慣れているらしいラピスはさらりとかわしてしまったが。
「一体どこに向かってるんだよ。早いところいかないと冗談ぬきで日が暮れる。」
「まぁ気にするな。とりあいず手始めに図書館ぐらいか。」
ジャラリとまたさきほどの長い数珠を取り出すラピス。
ラピスはソレをすばやくオニキスの首にひっかけると思いっきりひっぱった。
「うげ!!」
「うかつに歩くな。罠にかかるぞ。」
そしてそのまま数珠をひっぱって歩く。
「ふぐぐっ。そ・・・より・・・お前・・・が・・・こ・・・よ(訳 それよりお前のほうが怖いよ」
「何か言ったか?」
なにくわぬ顔をして振り返るラピス。その隙を見てオニキスは数珠から逃げ出した。
「ゲホゲホゲホ。」
酸欠になっていたらしくオニキスは反論する余地もない、のにかかわらずラピスはすたすたと先へと進んでいた。
まったくもって勝手な人である。(笑
「早く来い。迷子になっても知らんぞ。」
「誰のせいだよ!誰の!!」
やっと出来たオニキスの反論にも耳を貸さずスタスタと先を急ぐラピス。
(俺はどこで人生を間違ったんだ・・・;)
もうため息しか出ないオニキスだった。
++++
「着いたぞ。」
颯爽として言うラピス。目の前にはこれまた大きな金でできた扉があった。
ラズリ一族が一体どんな生活をしているのかまったく持って気になるところである。
「着いた・・・のか・・・やっと。」
はぁはぁいいながら後ろからやって来るオニキス。
彼は一体どこで何をしでかしていたのか?と聞きたくなるほどすごい有様だった。
切り傷、擦り傷、打ち身のあと・・・挙句の果てには焦げた後まであった(何してたんだ?!
「ラピス!!なんでこんなに変な仕掛けがあるんだよ!!」
変な仕掛け・・・というのはオニキスの傷を見てくれれば分かるであろう。
「仕掛け・・・ではない。いたずらだ。」
「踏んだら水ぶっかけられてその上電撃までもが流れる仕掛けのどこがいたずらなんだよ!!」
どうやら彼の傷は色々なラズリ一族のお茶目ないたずらに過ぎないものだったらしい。
どこら辺がお茶目なのかは知らないが。
「予告はしておいた。<罠にかかるな。>とな。」
ニヤリと笑う。随分嫌味な笑顔だった。
「お前とは違って魔法のことはよくしらねぇんだよ。」
もう半ば投げやりだったのか反論する気力も失せたのか、オニキスはまたもやため息をついた。
彼は物理攻撃に関しては得意分野であったが魔法攻撃に関しては無知だった。
それはチャオだからではあったのだが。
「だったら飛んでくればいいだろうが。」
「あ。」
随分と気が付くのがおそかったようである。
続く