1話目?
呪われたタロットカード
「ひぇ~デカイな。」
森のおく深くに佇むのはかつて最強の魔力をほこったといわれるラズリ一族の神殿。
その大きさにオニキスは圧倒された。
何年も前に建ったのにも関わらずその大きさは森を1部切り取ったようなもの。
小さな村の1つや2つ入ってしまうのではないかという敷地の広さ。
「そうでもないだろう。本部は地下だ。地上に見えているのにはただの飾りに過ぎない。」
さらりとオニキスの言葉を交わすラピス。
この大きさを普通というラピスはものの考え方が少しずれているかもしれない。とオニキスは思った。
「なにをしている。行くぞ。」
「あぁ・・・」
急いでラピスを追いかける。そうでなくとも人間の歩く歩幅とチャオの歩く歩幅は違うので一苦労だ。
門を開けると中には大きな屋敷のようなものが建っている。
中からみるとソレはますます大きく見えた。
「ラピス・・・ここに入るのか・・・??」
そう言って大きな金でできた扉を見上る。
何年もの間使われた形跡はないがその扉はきれいそのものだった。
「ちょっとどいてろ。」
「・・・おい。答えになってないぞ。」
「いいからどいてろ!」
声を荒らげて言うラピス。
しぶしぶとオニキスは後ろへと下がった。
もちろん浮かない顔をして・・だが。
ジャラリ。
取り出した数珠が音を立てた。
人1人でも縛りあげてしまうのではないか・・・というくらいの長さ。
水晶でつながれているそれにはところどころ瑠璃色の石が入っていた。
「おい!ラピスやめろ!!」
「だまってろ!!」
オニキスを一喝するとラピスは数珠を前に出しブツブツと呪文を唱え始める。
と同時にラピスの髪の毛が風もないのにはためき始める。
魔力開放の呪文−−−
魔力を持つものがそのすべてを開放する呪文。
それは強大な魔力を持つものが使用すればあたりは一気に死体と化する。
オニキスは自分の幼馴染を思った。彼女もまたこの呪文を使用しすべてを失った。
秩序も立場も位も・・・なにもかも・・・・。
ドゴォ。
すごい音がしてオニキスは我に返った。
目の前ではさっきまで形を成していたドアが粉々に崩れている。
「ラピス・・・?」
「なん・・・だ。」
そこには息を切らしたラピス。
「今何したんだ・・・?」
「みれば分かるだろう。ドアを破壊した。」
「・・・普通にいうなぁ!!!」
すかさずツッコムオニキス。たぶんこの男に何をいっても無駄なのであろうが。
「いくぞ。」
オニキスの見事なるまでのツッコミ(?)を普通にかわして神殿の中へと一歩踏み出すラピス。
それを追うオニキス。とりあいず一大事にならなかったことに胸をなでおろしながら。
続く。