(後編)ページ2
教えてもらおうじゃないか。
お前のせいで僕は今日と言う一日を中学卒業ぐらいまでは忘れないだろう。
「見てもらったとおり、この星の自然は廃れる一方。冗談抜きで僕たち、どれくらい先かなんて見当もつかないけど、絶滅しちゃうかもよ。だから、この星で一番偉い人間様に、今回の場合はキミにしてもらいたいことがあるんだ」
全人類を代表して、土下座しろとでも言うのか。
「キミが中身の無い頭を下げたところで事態は全く好転しないというコトぐらいわからないかなぁ。あぁ、中身ないもんね」
チャオってポヨポヨしてるよな。
そこの窓から放り投げたらどうなるかな。
「おー怖。とにかく、僕がして欲しいのはそんなことじゃないんだよ」
じゃあ何をしろというんだ。
「それは、言えない」
どうも朝からコイツに主導権を握られっぱなしのような気がする。
その前に、僕に呪いをかけた理由はなんなんだ。
「まだわかんないの、つまり僕はキミにある事をしてもらいたいんだよ。それをしてくれるまで呪いは解けないよ。逆に言うと、それさえしてくれれば呪いは解ける」
で、何をすればいいんだ。
「それを言っちゃあダメなんだって、キミの頭には500回ぐらい言わないとわかってくれないようだね。自主性が大事なんだよ自主性が。キミが自らの意志で動いてくれないと」
そうはいっても、ノーヒントではわかりっこない。
あいにく僕はエスパーじゃないんでね。お前の心なんて読めないぞ。
「本気で言ってるの?冷静になって物事を考える力が低レベルなのか、物事を考える力自体が低レベルなのか、どっち?話の流れを読みなよ」
いい加減、コイツのいうコトにいちいちこめかみをぴくぴくさせるのには疲れた。
言われたとおり冷静になって考えてみよう。
「さっき僕が見せたニュースの内容を記憶から掘り起こしてもらえばすぐにわかると思うけど。人間がしたことなんだからさ、人間が尻拭いしないと」
ようするに、コイツは警告に来たのであろうか。
この星の自然に損害を与えてきた、そしてコレからも与え続けていく人間に。
しかし、人間だってそこまで愚かではない。
自然を守り、そして発展させていこうとする努力だって払っている。
「確かにそうかもしれないけど、僕としてはその姿勢を、行動として僕に見せてほしいと思う」
つまり――
「…僕に、自然を守れとでも言いたいのか」
「yes」
グリンは僕に腕を突きつける。
チャオの手の構造が人間と同じなら、多分僕には人差し指が突きつけられているんだろう。
自然を守る、ねぇ。