(前編)ページ2
『朝目覚めた時見知らぬ生物が自分のお腹の上に乗っていた場合、どう対処するか』
などという予習を常日頃から行っていたわけではない僕は、寝起きだったのも重なってそれはそれはマヌケな声を上げて布団の上を後ずさりした。
仰向けで寝ていた僕のお腹に、見知らぬ生物が乗っていたからだ。
「ぅあ、なんだ。なんだお前」
後ずさりした拍子に、その生き物はコロリンと布団の上に落ちた。
体全体は水色で、手足と頭の先が黄色、頭上に丸っこい物体が浮かんでいる……。
「…チャオ?」
「ぴんぽーん」
効果音は、目の前のチャオが呟いたものである。
まずは一つの疑問が解消された。そうか、お腹に乗っていたのはチャオか。
しかし、一番の問題はそこではない。
「…なんで、ココにいるの?」
最大の疑問である。なぜなら僕はチャオを育てていない。
いるはずの無いチャオが、なんで罪の無い僕のお腹に座っていたんだ。誰かのいたずらかな?
「まぁ、そんな細かいコトは気にしない気にしない」
不法侵入を些末な出来事として片付けられるほど、僕の心は広くない。
お前が如何な手段を用い、如何な理由で僕の部屋に入り込んだかは知らないが、早々に立ち去って頂きたいというのが本音である。
「と言うわけで出て行ってくれ」
「冷たいなぁ。まぁ出て行ってもいいんだけどさぁ、」
僕は次の言葉を待った。
「キミに呪いをかけたから、僕から離れると災いが降りかかるよ」
僕は「は?」としか言いようが無かった。