6話 ヒットの愉快な一日

何の記憶もなく 6話 ヒットの愉快な一日

「ふぃ~。今日も一番早く起きたぞ~」
ヒットが起きあがる。他のチャオは全員寝ていた。ヒットは毎朝恒例の事をする。

グシャッ。
「グアアアァアアァァァ!!!」
ギャラクシーがあまりの痛さに起きあがる。ヒットはギャラクシーの体の上にある太鼓で遊んでいる。これが毎朝恒例の事である。

「あれ?ギャラクシー君。いたんだ」
「あほぉぉぉ!毎日やるなー!」
「えぇ~?なんのことかな~?」
ヒットはそのまま立ち去る。ギャラクシーは太鼓の重さに数時間耐えていた。

「あれ?ギャラクシー君、疲れているようだね」
「うるせぇヒット!!お前のせいだろうがー!!」
「おや?ギャラクシーじゃないか。ヒットの行動を責めちゃいかんよ。ダッハッハ」
レッドメアが乱入。ギャラクシーはこの時点で完全に不幸な一日を過ごすことが確定してしまう。

「まぁいいや。腹、減っているだろう?腹減っているやつ相手になんかまともにいじめできんからな。まぁ、こっちこいや」
レッドメアがギャラクシーを木の実がある方向へ誘う。ギャラクシーはフラフラとレッドメアの後ろに着いていく。

「でいやぁー!!」
ヒットがギャラクシーに突進する。ギャラクシーはその先にある落とし穴に落ちた。

「いぇい!引っかかったー!」
「お前が引っかけたんだろがー!!」
「うるさい」
穴から出ようとしたギャラクシーを太鼓で穴の中に押し込めるレッドメア。もはやいじめを超えている。

~数時間後~
「がぁー。なんとか脱出もできた。腹も満たされた。問題はこの後だ」
ギャラクシーが呟く。すると、後ろから嫌な気配が…

「ギャラクシー!世紀末の魔王ヒット様と次世代の王の座をかけて勝負だ!!」
「おいおい。世紀末って、まだ90年ほどあるぞ?しかも次世代の王ってなんだ」
「説明してあげよう!次世代の王とは、世紀末の魔王を超す最大級の称号なのだー!!」
ヒットが自慢気に説明する。ギャラクシーは呆れている。

「いいか?世紀末の魔王だろーがなんだろーが、俺はお前には負けん。そして次世代の王の称号は俺がもらう」
「めっちゃやる気じゃねぇーか。大型輸送機」
不意に後ろから声。声の主は、あの少年だった。審判は勿論少年。ギャラクシーは、かなり不安になったが、称号のためだ。と呟いた。

「世紀末の魔王!どっからでもかかってこい!」
「いくぞ!前代未聞の12ファール失格野郎!!」
前代未聞の12ファール失格野郎…審判のオモチャオを投げたために5+7ファールで失格になったギャラクシーのこと(5話参照)10ファール失格者は数名いるが、12ファール失格者は彼が初めてである。しかし、あまり喜べない。

Zzz…ズガベキッドコッ!Zzz…ドガガガ!ズドドドドド!バキッ!グシャッ!!Zzz…
とても激しい戦いが繰り広げられる。ヒットは、ドリルやら太鼓やらで攻めているが、ギャラクシーはそれを避けながら機関銃をヒットを狙う。ヒットも素早く木の陰から木の陰へ移り、銃弾を避ける。もはやチャオの戦いではない。

「隙っありぃぃぃ!!」
ズガーーン!!ギャラクシーの後頭部にヒットのフライパンの攻撃。ギャラクシーは気絶した。

「やった!次世代の王の称号ゲットー!」
「Zzz」
審判の少年は完全に寝ている。最初から寝ていた気もしなくはない。

「あれ?ヒット、勝ったの?」
「ハッハッハッハ。この次世代の王に怖い者はいなーい!!」
「へぇ。そうかそうか」
レッドメアと少年が同時に言う。それも、怪しげな目つきで。

「あ…」
数秒後、ヒットの悲鳴がガーデン中に響いた。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第124号
ページ番号
7 / 8
この作品について
タイトル
何の記憶もなく
作者
スマッシュ
初回掲載
週刊チャオ第118号
最終掲載
週刊チャオ第125号
連載期間
約1ヵ月19日