7話 驚異のクリムゾン

何の記憶もなく 7話 驚異のクリムゾン

「どうだ…?結構離したとは思うが…」
クリムゾンという名の赤いノーマルチャオが呟く。ここは、チャレンジレースの最終戦である。ここでは強敵のライトカオスとレースで競うことになっている。目当ては戦利品のTVではない。1分以上の差で勝利した時に貰える新TVが目当てである。これまでに、レッドメアやヒットが挑戦したが(ギャラクシーは信用されてないので挑戦してない)50秒の差が限界だった。そこで仕方が無く彼が挑戦することになったのだ。

「まだ…体力は残っているな…」
長い川を泳ぎきって、最後の直線。そこで彼は残りの体力全てを消費しての猛スピード走行を始めた。落とし穴も、落ちる直前に飛んで回避する。普通のチャオではできないことだ。そして、クリムゾンは見事ゴールした。それからしばらくしてライトカオスもゴールする。その差は1分23秒だった。


「よくやったクリムゾン!俺が認めただけのことはあるなっ!!」
クリムゾンがガーデンに戻って来るなりレッドメアが大声でクリムゾンの肩を叩きながら言う。クリムゾンは、認めてないだろが。と軽くつっこみをした。

「よっしゃー。新TV最初の番組はこれだぁ!!」
ザァァァァァァァァ。ガーデン内全員を集め、最初に見たものは薄型の液晶画面に映し出された黒と白の波。空しい音は途切れることもなく流れ続ける。

「砂嵐かい!!」
ギャラクシーが狂ったかのように大声で叫ぶ。それをレッドメアが太鼓で制す。そして、チャンネルを変える。すると、何やら凄い機械と機械が戦っている。ロボット系のアニメだろう。と、この時点でTVを見ているのは太鼓に潰されて身動きが取れないギャラクシーだけだった。それ以来その新TVは全く使われなかったとか。


「クリムゾンよ!次世代の王として貴様をこのまま頂点に立たせておくわけにはいかない!」
数日後、レッドメアが言う。次世代の王とは、このガーデンでヒットが勝手に作った称号であり、レッドメアが強奪したのである(6話参照)

「レッドメア。俺がお前に負けるとでも思っているのか?」
「勝てない勝負は挑まないんでね。こっちには、こういうものがあるんだ」
「針…?」
「ただの針じゃあ無い。毒が塗ってある」
チャオにしてはやることが大胆すぎである。しかし、クリムゾンは恐れることもなく突進してきた。レッドメアが毒の針で刺そうとするが、クリムゾンはレッドメアの腕を下から叩き、針をはじいた。その針はレッドメアの頭に刺さった。

「フハハハハハハ。毒というのは嘘だ。わざと距離を近づけるための物でなっ!」
レッドメアが次に取り出したのは銃。それをクリムゾンの頭に突きつける。
「ム。銃か。ならば」
と、レッドメアの腹にパンチをするクリムゾン。相当の威力があったらしく、レッドメアは思い切り飛ばされた。レッドメアはすぐに立ち上がり、銃を乱射する。しかし、クリムゾンは器用に避けていく。

「チャオカラテを極めれば…武器などいらん!」
クリムゾンがもの凄いスピードでレッドメアの目の前に来る。そして、クリムゾンのパンチをレッドメアは冷静に避け、そのままキックでクリムゾンに攻撃するが、クリムゾンも避ける。その直後にクリムゾンが…と激しい攻防が続く。

「なかなかやるな」
「ふん。このレッドメア様をなめるなよ」
「では、これで終わりだ!」
クリムゾンがパンチをする。レッドメアが避けた直後にレッドメアと同じスピードで動き、着地地点でさらに殴りかかった。しかし、レッドメアはそれを新TVで防いだ。

「グッ!?」
「どうだ。これが新TVの使い方だ。薄型で軽いからな」
「盾とは卑怯な」
「うっさい」
そのまま新TVでクリムゾンを叩き続けるレッドメア。このままレッドメアの勝ちと思いきや…

「最強は俺だぁぁぁぁ!!」
今回全く出番がなかった少年のかかと落としが二人を襲ったのであった。

「ったく。クリムゾン、君が出ると面白くないからこれから出番は抑えるするようにするから」
少年の不気味な笑みはクリムゾンを富士山の頂上から転落させた時の肉体ダメージと同じくらいの精神ダメージを与えた。

「よし。今からお前は幼稚園へ強制永住だ」
「えっあっちょっ…うわぁぁぁぁ!?」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第125号
ページ番号
8 / 8
この作品について
タイトル
何の記憶もなく
作者
スマッシュ
初回掲載
週刊チャオ第118号
最終掲載
週刊チャオ第125号
連載期間
約1ヵ月19日