2話 チャオガーデン
何の記憶もなく 2話 チャオガーデン
「さて…お前のことをみんなに話さなくてはならんな…」
「え…?あぁ。そっか。記憶のことね…」
「待ってろ…」
と、他のチャオ達に向かって歩くレッドメアの右手には「ラッパ」が握られていた。
「Zzz…」
「ふむ。この大型輸送機め。すぐに起こしてやる…」
と、ラッパを吹く。それも、そのアメジストチャオのすぐ側で。しかしそのチャオは起きそうもない。
「ったく。しゃーねぇなぁ」
ゴスッ。レッドメアはラッパでそのチャオを叩く。そのチャオはあまりの痛さに起きた。
「いでぇぇぇぇっ!!何すんだ、この馬鹿ダークカオス!!」
「お目覚めか?大型輸送機」
レッドメアは、微笑んで言う。普通、カオスチャオは無表情だが、彼は違うのであった。
「大型輸送機言うなっ!!」
そのチャオ、ギャラクシーが大声で言うが、レッドメアは聞き流す。そして、足を掴み引っ張る。
「最後はヒットだ。こいつにはこれだな」
他のチャオは起きていたのですぐ集まったが、ヒットというダークヒコウチャオは寝ている。レッドメアは太鼓を取り出す。
「あー重いなぁー。よし…一度ここに置くか」
レッドメアはわざとヒットの上に太鼓を置いた。ヒットはその重さのあまり目を覚ます。
「ぎゃあああ!!体が太鼓になってるー!!」
ヒットが騒ぐ。いつもこんな感じなのだ。
「へいへい。起きたか」
レッドメアは太鼓を持ち上げる。するとヒットは安心して夢の中へー…
グシャッ
レッドメアは太鼓をわざと落とす。さっきは置いたが、今回は落としている。
「~~~!!」
「さぁ、わかったら来なさい。今度寝たら、振り落としますよ?」
と、レッドメアは太鼓を持ち上げながら笑顔で言う。ギャラクシーはとことん怖いヤツめ。と心の中で呟いた。
「……というわけだから、適当に自己紹介でもなんでもしてくれ」
レッドメアが事情を話す。そして、一番最初に立ち上がったのはギャラクシーだった。
「我が名はギャラクシー。名前の由来は…」
「大型輸送機」
「ちゃうわぃ!えーと、銀河。そうそう。銀河」
「へぇ。チャオのくせに贅沢な名前だね」
少年があっさりと言う。ギャラクシーは目を丸くして驚いている。
「まぁ、こいつは名前だけのやつだしな」
「黙れ!!能力も高いわ!!」
「はいはい。次。ヒット」
レッドメアはまた聞き流す。そして、ヒットが出てくる。
「はいぃ。ヒットですよん。えーとね、名前はヒット。次に~名前!ヒット!」
「何度言うんだ」
「え!?あぁ~あ。趣味は大型輸送機をいじめること♪」
「大型輸送機言うなぁぁぁ!!」
「俺の名前はクリムゾン」
「はい次」
「待て貴様っ!もっと言わせぬかっ!!」
「却下。逆らうならこれで殴るよ」
レッドメアはラッパを取り出す。クリムゾンは黙って座る。
その後もレッドメアの強制終了によりまともな自己紹介は誰一人できなかったという。