1話 チャオ
何の記憶もなく 1話 チャオ
とある少年が、チャオガーデンの入り口で立ち止まっている。彼の記憶の中ではここに来るのは初めてのはずだが、何故か見たことがあるような気がする。そんなことを考えるのはやめ、とりあえずガーデンの中に入る。
中には、沢山のチャオがいた。その中の、赤く二つのツノが生え頭には炎が浮いているチャオが話しかけてきた。
「よぉ。久しぶりだな」
彼の台詞に、少年は驚いた。こんな変なチャオ今まで見たことがない。
「君は誰だい?」
「は?」
変なチャオは何わけのわからんことを言ってるんだコイツ。という表情で少年を見ている。
少年も同じように、何わけのわからない言っているんだ?という表情だ。
「あ…!思い出したっ!レッドメア!!そうだろ!」
「うむ。そうだ。んで、ちょっと訊きたいことがあるんだ」
少年はレッドメアにいくつかの質問をされた。そして、レッドメアは言った。
「お前…俺達チャオの記憶だけ失っているようだな」
「え…?」
そう。レッドメアは彼の記憶があるのに、彼はレッドメア達の記憶がない。そうなると、記憶喪失しかない。
「まぁ、そのうち全部思い出すさ。気楽に行こうぜ」
レッドメアはそう言うと
「まぁ、とりあえずは飯だろ飯。まずは、俺達が食べそうな物を持ってこい」
と続けて言う。少年は頷き、ガーデンから出て行った。
「そこの木の実を落とす気はないのか…?もしくは、何かを買いにいったか…だな」
レッドメアは呟いた。数分後、少年は戻ってきた。
「な…なにこれ?」
レッドメアの目の前に置かれた緑色の物体。レッドメアは黄色の目を少し丸くして言う。
「え?寿司に付いてくるプラスチックの草」
「く、食い物じゃねぇよ!?しかもよぉ。なんだよこの量は!!」
そう。その物体はレッドメアの体の4倍ほどの量があったのだ。食べられる物としても食べきれる量ではない。
「ふぅーむ。じゃあ、食べる物なんなのさ?」
「木の実だよ木の実っ!!みりゃわかんだろがよぉ!!」
レッドメアが木を指しながら怒鳴る。少年は、なるほど…と呟いて木に向かって走る。そして、少年は跳び蹴りをして木を倒した。
「た、た、倒れ、た」
レッドメアが唖然としていると、そのまま木をレッドメアの目の前に持ってくる。
「はい、木」
「いや…『木、のみ』じゃなくて『木の、実』だから」
レッドメアは木の実を持って言う。すると少年は木から木の実をジャンプして取った。
「いや…さ、普通に揺らして取ろうよ。反則技でイエローカード出すぞ?」
「いいじゃん。別にさ」
と言って木の実をレッドメアに渡す。レッドメアはそれを数秒で食べ終える。
「ってか、木を倒すことは確実にレッドカードだろ。闇の取引所で木の種でも買ってこいよ」
「はいはい」
数分後、少年は10個ほどの種を持って帰ってくる。
「いやいや、俺一人にそんな重労働させる気かよ?」
「え?植えられるの?じゃあ3つお願い」
「は?残りの7つは?」
レッドメアが訊いた時には、少年は地面を思い切り蹴り、穴を開けていた。
「……!?(記憶を失ってから過激になりやがったぞ!?)」
「はい1個」
素早く種を置き、また土を被せる。そして少年はまた別の所へ行く。
「うぇっ!3個植えない間に絶対終わるぞ!?」
レッドメアは急いで種を植えるが、スコップと一撃必殺な蹴りでは格が違う。
「ふぃ~。終わった終わった。あれ?まだ2つ目?」
「お前が早すぎるんだよっ!!」