~20巻 自分の手で~
ゲールグがティカチャルにそっとスピードダイヤを渡そうとした・・・
パシッ・・・・ カタンッ・・・
スピードダイヤは地面に転がり落ちた。 ティカチャルはスピードダイヤを叩いたのだ。
『・・・要らないの?』
『ええ。 私の一族の言い伝えに従うわ。』
ティカチャルの一族は代々弓を持ち続け、絶対に物を外さないほどの集中力を持っているのだと、人々は言う。 言わない者は居なかった。
『言い伝え・・・って何ですか?』
チョコが聞いてみたものの、言葉を返さない。 ゲールグは地面に転がり落ちたダイヤを拾った。 拾うところもしっかりとティカチャルは見ていた。
長い沈黙が流れた。未だにチャロはゲールグを不思議な目で見ていたし、ラインは辺りを舞う砂に目が行っていた。
『弓の一族 道具使うば成長止まりし。道具使うば力失われし。弓を肌身離さず持ち続け真の力を神から授かるのが弓の一族の指名なり・・・・』
長い沈黙の中でやっと口を開いたのはヴィーズだった。
『・・・・よく覚えているわね・・・』
苦笑しつつティカチャルは言った。
『・・・・石版に書いてあった。』
石版・・・ ヴィーズと親友のリーズが下校中に会った七色の壁。そこを通り抜けたとき・・・2人は離れた。そしてゲールグに会ったのだ。 そこの横には色々な文字が刻まれていたのを読んだヴィーズ。 色々な一族の言い伝えや先祖、末裔などが書いてあった。
スピードダイヤを睨みながらティカチャルは言った。
『弓の一族は私たちの一族も入っているの・・・だから道具は弓1つで良いの・・・』
『でもよ、貰った方が強くなれると思うぜ?』
ラインは早さを優先する。
『力の成長が止まったら意味がないゎ・・・・』
ーーーーー絶対に両親を殺したヤツを突き止める・・・
そのために力が必要なの・・・・ーーーーーーー
心の中に刻み込んだ。