~15巻 治らない傷~
父親を待つためにティカチャルとティカシャ(母親)はシチューの準備をしていた・・・・
ティカシャ 『じゃぁブロッコリー入れよっか。』
ティカチャル『えーっ ブロッコリー後から飲み込めなくなるから嫌だょー』
『じゃぁフサフサだけ取ってあげるね。ティカチャのは。』
ティカシャが半笑いで、冗談で言ったのは、ティカチャルにとっては本当のコトだと思い、信じてしまった。
『苦いから嫌だーっ』
駄々を捏ねるティカチャルに、またジョークを言ったのはスケールがある意味で大きかった。
・・・・蜂蜜で煮てあげる。
。。。。不味そうだょー・・・・
しーん・・・と静まりかえったキッチン。 ティカシャは今の冗談を取り消すようにティカチャルの願いを叶えた。
ティカシャ 『ティカチャのだけはブロッコリー入れないから安心して。』
父親が帰ってくれば笑顔の夕食になり、食べ終われば今日のデキゴトを話していた。
この笑顔が絶え間なく続くと思えば続かないモノだった・・・・
雪が降り、弓の練習が出来なかった日の夜。 雪はまだ降り続いている。
ティカチャル 『おやすみーっ 明日の天気予報、見ておいてねっ』
手を振り、両親に告げる。
両親はフッと笑い、おやすみ。とティカチャルに言った。
布団に入って、瞳を閉じた。 自分の瞼の細胞が妙な形に変わっていく・・・ 不吉な形に見えた・・・
なんなの・・・・ なんか・・・怖いよぉ・・・
そう思いながらも眠りに落ちていった・・・・
両親も眠り、道路の街灯が輝かしく見えてきた時間帯・・・
暗い部屋に影が忍び込んだ。 まだ誰も気づかない。
街灯に反射した刃。 それは・・・・ ティカチャルの腕に当たった。
錆色のモノが・・・
それは黒いオーラを出して治らないキズになった・・・