Mr.Beloved 2

空が青い。


浮き足立つような晴れ間の午後、平和なダウンタウン郊外、
何も考えなくても、自然と綺麗なところへ連れて行ってくれそうな風。
恐ろしいくらい眠くなる公園のベンチ。

こういうときこそ私はPCを叩かせ、
今度友人に見せるつもりの小説を塗り替えていく。
作者名は、「某」として。
今日は気分が良いから水色にしようか?
いや、こういうときこそ、人間の苦しさを真剣に考えて、
スモーキーブラウンの髪をそのままオーバーラップさせようか?


カーテンの光と風を浴びながら、
私はまたこの「Mr.Beloved 2」を更新している。
完成は多分何万文字で埋まるだろう。
そうでないと修学旅行中に考える羽目になる。さっさと…

私は緩やかな時を昇り、
また、タイピング速度を上げようとした…


しかし、そんな静かな美しさはあっという間にとぎれてしまった。


どこからか、銃の音が聞こえる。


悲鳴とか、怒声とか、驚きとか、そんな声も聞こえてくる。


私は野次馬つもりで、幾分か虫が張り付いた網戸を開け、
その顔を外に覗かせた。

が、次には、それらの音を上まるような、
けたたましいハーレーのエンジン音が轟きだし、
結局、私が外に出る頃には、その街の雑踏音は一応の収束を見ていた。


静かな日々がまた戻る。


私はしばらく考えた。


人間というこのような興味を引かれる事件を、
引き起こし、引き起こし、そして、非難する生物を。
あるいは、人間にはそれぞれのドラマがあるのではと言うことも、
そう言うことも、考えた。


そして、ひらめいた。


それは他のどんな色をも追い抜くようなすばらしいカラーを。
人間を一番示した、そのカラーを。

私は先ほどの強盗のことを考えた。

先ほどの強盗は一体どうしているのだろう…?
一体誰と、あんな事件を起こしているのだろうか…?


一体…


『Mr.Beloved 2』

このページについて
掲載号
週刊チャオ第301号&チャオ生誕9周年記念号
ページ番号
1 / 9
この作品について
タイトル
Mr.Beloved 2
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第301号&チャオ生誕9周年記念号