LEVEL ~no level, no life
某国にて。
30年前の話。
―この世の中で「LEVEL」の低い人間には、
強制的に死刑を執行させてもらう。
いつもは騒がしい記者達は、今回だけは静かだった。
いや、静かにさせられたと言っても良いのかもしれない。
首相以外は皆誰もが冷や汗を垂らしていた。
某国の首相は話を続けた。
―この世の中に置いて、この国は、
むごい殺人・少年犯罪・教育問題・・・。
沢山の問題を抱えるようになった。
しかしながらこの法律により、
そのような行動を起こす者は死刑に処され、
良い人間だけが子孫を育むことになる。
首相は間をおいて、
―そして、そのLEVELをはかるものとして、
「チャオ」を利用させてもらう。
記者は訊いた。
―チャオで、どのようにLEVELを・・・?
―これからは生まれた人間は一匹のチャオを持ってもらう。
その時は、心が完全に形成された二十歳・・・成人式。
その成人式の一週間前にチャオを持たせ、生活させる。
だが、LEVELをどう判断するかは言えない。
首相はまた間をおいた後、さらに険しい顔で、
―そして、年齢を偽る、チャオ授与を拒否する、逃走する
チャオにその授与者をいやがる傾向があるならば、・・・。
そして、首相はおもむろに銃を取りだし、
会見場の天井に引き金を引いた。
大きな乾いた音が静かな空間に響き、
―即刻、死刑だ。