都市から遠く離れた土地にキサラはいた。
父親であるドーラと共に、平和な時を過ごしていた。

今日も、キサラはいつも通り朝食を食べていた。
だが、今日はいつもと雰囲気が違う。
キサラ「ねぇ、パパ。どうしたの?」
ドーラ「ん?ああ、何でも無いぞ?」
ドーラはそう答えたが、キサラにはそんな父親の態度に不信感を抱いた。
キサラ「ねぇ、今日のパパ変だよ?」
ドーラ「キサラ、パパはいつも通りだ。まだ寝ぼけているんだろう、顔を洗ってきなさい」
キサラ「……はぁーい…」
まだ父親の態度に疑問はあったが、キサラはとりあえず顔を洗うことにした。
娘が洗面所に行ったのを確認し、ドーラはまた考え込んだ。
ドーラ(どうする…?キサラに伝えるか否か…)
昨晩、都から「ルシアが自害した」と言う知らせが届いたのだ。
キサラと共にここに来る様頼まれた時、こうなることは薄々勘付いていたので、今日も何とかこうしていられるのだが、問題はキサラがルシアの死をどう受け取るかであった。
ドーラ(キサラが聞いたらどんな反応をするだろうか…ショックで能力を使いかねないからな…)
ドーラが思考を巡らせていると、キサラが戻ってきた。
キサラ「顔洗ってきたよー」
ドーラ「ああ、そうか。じゃあ早いとこ食べ終わって学校に行かないとな」
そう言って、ドーラは置時計をつついた。
それを見た瞬間、キサラは物凄い勢いで朝食をかきこんだ。
キサラ「はぐっんぐぐ…ヤバい、遅刻しちゃうよぉっ!」
朝食を終えると、キサラは走って学校へ行った。
キサラ「行って来まぁす!」
ドーラ「行ってらっしゃい」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第269号
ページ番号
2 / 5
この作品について
タイトル
巫女の幸福
作者
神崎揚羽(紅黒梓)
初回掲載
週刊チャオ第269号
最終掲載
週刊チャオ第279号
連載期間
約2ヵ月12日