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巫女の生誕に永久の祝福を
巫女の一生に永久の幸福を
巫女の名に永久の生命を
巫女の翼に永久の願いを
ヴェルゼの丘でひとつの命が誕生した。
名は「ルシア・エルメドラ」。
皆は彼女を巫女と謡い、彼女自身、巫女と呼ばれるにふさわしい能力を持っていた。
時を超える力、それが彼女の能力であった。
彼女の一族は代々時を越える力を持っていた。
そして、その力を悪用することは、一族の中で堅く禁じられていた。
だから、彼女もそれを守っていた。
しかし、周りは違っていた。
彼女の力を使い、過去を変えようとした。
彼女はいつも狙われていた。
ある日、彼女はある組織に捕まってしまった。
そして、能力を発動できない様、首に発動防止のペンダント状のものをつけられた。
もう、逃げられない……
彼女は覚悟を決めた。
キサラ、頼みましたよ……
彼女の娘にあたるキサラという少女に全てを託し、ルシアは自らの命を絶った。
キサラは、離れの土地に住んでいた。
彼女に課せられた運命は、決して軽くはなかった。
今、彼女はそれを知らない――