~俺と奴らの逃亡~ 二章

じっとしていても仕方が無いと、足を動かす。
今日は疲れた、さっさと寝ようと、歩を進む。
しかしながらも何もかも、ここがどこすら分からん上に、太陽は沈みもしない。
そのまま、時が止まっているかの如く、動かなかった。
赤に染まる景色。
そして、高く聳え立つ町並み。
ああ素晴らしい!まるで未来都市のようだ!
ところでここはどこだろう!
「すいません、ここはどこですか?」
訊いて見た。見間違うまでも無く、近辺通行人だらけだ。
「ここですか? ええーと、美山ですが…。」
どこだろう。訊いて見た。
「京都府、美山です。」
どこだろう。訊いて見た。
「日本の、近畿地方、京都府の美山ですが…。」
「すいません、夢ですか。」
「はい?」
ふらふらと歩く足取りは、はっきりいって重く、俺の全体重が一気に増加したようだった。
周辺に目立つ箇所は無く、唯一気になる箇所は、あれだ。
チャオが歩いてやがる。
んなバカな!古代生物〝CHAO〟は絶滅したはずだぜ。


「すいません、今はいつですか?」
「んー…4月の6日かな?」
年号はいつでしょう?もしや西暦では無かったりしませんよね?
「年号?あー…」
すいません、本当ですか?
「本当ですよ。」
俺はタイムスリップでもしてしまったのだろうか。
俺のいた時代よりも、未来、5年後の話とかいうぶっ飛んだ話だった。
…過去なら、ちょっとは対応できたかも知れんが。
場所が違うところからして、無理である。


おかしいぜ。
俺は近くのコンビニに入っただけであって、こんな田舎に来た覚えは無い。
というか、年号が違うところからしておかしい。
だが、今までに起こった事を考えてみれば、そうそう考えられなくも無いな。
と、俺は冷静に分析するまでに経験が積み重なっていたのだ。
そう、経験だ。
この先何があろうとも、俺は今までに様々な事を経験してきているのだ。
何とか行ける。
そう信じる。
宇宙みたいな処に移動した時も、意味不明な事件に巻き込まれた時も。
俺の能力は〝無力化〟だ。
身の危険さえも〝無力〟になるのさ。


フレアだって、城宝だって、親友だって。
俺は散々言い古して来たじゃないか。
何とかなるだろ―と。
少なくとも、今、この時まで、どの時まで俺の命が持つのかは分からないが。
寿命をわずかでも伸ばしてくれよ、神様。

言うに言われない感情が、俺の中を駆け巡っていた。


しかし、どうしようも無いな。
八方塞とはこの事だ。親友、同情するぜ。
何をしたらどうなるか、全く分からない。
俺はやりたいようにやるだけだが、そもそも何がどうなっているのかが分からん。
現状認識は大切だな。俺は道を歩く〝CHAO〟を見ながらそう思―
ん?待てよ?
〝CHAO〟が存在する?
しかも、人間と共存をしているように、俺の目には見える。
俺のいた時空間から5年後。
俺はどうなっている?
現に、この未来での俺は、死んでなければこれを経験しているはずだ。
もし、仮に未来が一定のものであって、未来に沿って過去は継続されているものでしか無いとしよう。
そうしたならば、俺のこれから進む道の、俺のこれから考えて行動する先に、この未来がある。
そういう事に…なる。
そうしたならば、確実に〝サイバー〟や〝無力化〟などを経験した俺がいるはずだ。
俺の行動は決まった。

そいつを探そう。
俺をここに移動させた…という事は、所持金が万札以下であろうとも、どうにかなるんだろ?
つまり、ここのどこかに、俺はいる。
俺で無くとも、俺の代理人、「関係者」がいるはずだ。
探し方はいくらでもある。
現在の時刻は5:30過ぎだが、電話ボックスに入れば移動出来るだろう。
そう、フレアの故郷へ。
あそこなら、今の居場所がどこだろうと関係ない。
電話ボックスならすぐそこにあるし、な。

というわけで、いざ、チャオガーデンへ。
そこがアトラクションとかになっていない事を祈る。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第258号
ページ番号
27 / 40
この作品について
タイトル
マゼルナキケン
作者
ろっど(ロッド,DoorAurar)
初回掲載
週刊チャオ新春特別号
最終掲載
週刊チャオ第273号
連載期間
約5ヵ月9日