~城宝早苗の憂苦~ 三章

「…あそこのテーブルにいる人?」
「そうみたいだ。〝サイバー〟だからな。」
「了解。」
どっから出したのか、フレアの右手にはいつしかの…。
緑色に煌きを持った〝カオスエメラルド〟を手にしていた。
「何やんだ?」
「〝混沌制御〟の静止…構えとけ。」
時刻を確認する。腕時計装着中なので、アナログで良かった。
1秒が段々と遅くなって行く。壊れたのかと訝しむくらいだ。
〝サイバー〟と〝アンチサイバー〟と、範囲外の連中以外は、止まる。
「誰だ?」
「〝混沌制御〟…完了ってね。」
「誰だ?」
2回目のwhoを唱えて、俺たちはフーダニットの面を拝んだ。
ひげの多少生えたおっさん…中年に差し掛かっている頃だろう。
「チャスティス、第二党十一代目将軍…新米だけど、フレア=フォーチュン。」
「ところで親友。俺はなにしてれば良いんだ?」
「黙ってみてる。」
俺は出番の無い事を確認した後、溜息を付いた。


「ほほう。なぜ俺が分かった?」
「何と無く。」
「遠距離戦が得意ならしいが、俺は逆だ。早いところ終わらすぜ。」
両腕を剣に変化させた親友、〝アンチサイバー〟の能力だ。
人間のものとは思えない速度で中年の間近まで迫ると、縦に切る。
血が…出ていなかった。
服の裂けた痕に、鋼鉄の色が見えた。
「反則じゃねえか?」
「余裕。親友に合図して。その隙に僕が行く。」
〝カオスエメラルド〟を緑と赤の2つを持って、フレアはそれを放り投げた。
俺は親友に、ホットケーキと叫んで伝えると、親友は一歩下がった。
相手にとっても意外だったか、きょろきょろと見回す。
だが、策略のうちさ。
「〝混沌波動弾〟!」
新しい必殺技を生み出したか、フレアは2つの〝カオスエメラルド〟の力を引き出す。
赤い波動が、辺りを埋め尽くし、それがレストランのありとあらゆるところを…。
壊さなかった。
「干渉の遅延…〝混沌制御〟。」
「今だ!」
俺の出番かよ!


〝サイバー〟を消滅させた後、そいつをGUNに突き出してやった。
意外にもそいつは簡単に自白し、俺としては一苦労、GUNのおっさんは呆気なくと言っていた。
はっはっは。2日目の正午前、完璧に事件解決ー。
本当に解決だよな?続きとか無いよな?
「当然だね。大丈夫。〝サイバー〟以外がいるはず無いよ。」
フレアは念を押す。
俺たちがいるところは、親友と俺の同室自室である。
俺の使っているベッドには城宝が寝ていたはずなのだが、いない。
どこへ行ったと探す暇も無く、メールが来た。
それは、もう1つの事件の解決を知らせるメールだったが。
まあ、俺しか知らんだろうしな。
3日目には吹雪も晴れるというし、楽しくなりそうだ。
親友には、未だにトランプで勝てんが。


翌朝…俺は正直言って、疲れていた。
だから、仕方無かったのだと思う。
円に振り回され、城宝は〝サイバー〟のためか軽く付いて行けるし、親友も同じく、フレアは体力必要あるのかさえ疑問だ。
だから、いたって普通の俺が、立て続けのミッションをクリアするには…。
正直、体がもたないのさ。
という訳なのだけど、まあ、楽しそうだから気にすんな。
誰が…って。
円まゆかと、城宝早苗のお2人さんさ。
親友は困りっぱなしだったが。


4日目。
ついに修学旅行も最後というところになって、俺は疲労ゲージがマックス寸前になっていた。
トライクロス神殿で一休み取ろうと、俺は神殿内部をろくに見学せず、座っていた。
最も、フレアは向こうの雪国で会った事になっている。
だから、今頃はバスの中で、狭い思いをしている事だろう。頑張れ。
俺の修学旅行は、そんな感じで終わった。


だが。
更なる危機が、俺の前に、果たしてはフレア、親友…。
それらの前に降りかかってくる。
それだけは、さすがの俺でも分かった。
最も、何が来るとは分からなかったが…。
少なくとも。


全力は、尽くすぜ。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第258号
ページ番号
24 / 40
この作品について
タイトル
マゼルナキケン
作者
ろっど(ロッド,DoorAurar)
初回掲載
週刊チャオ新春特別号
最終掲載
週刊チャオ第273号
連載期間
約5ヵ月9日