8-地下倉庫にて-4
「へぇ、あんた神父さんかい?なら信用できるだろう。あんた、殺さないって言ってたよな?
力も込められてない、あんな形を取っても俺はあんたを少しだが信用できる。
俺は捜査官だ。それくらいは明かしてもいいだろう」
部屋の反対の壁にタイヤや、釘、ネジが吹っ飛ぶ。
力が抜け、立てるようになる。深く刺さっていた釘すらも抜けた。
「助かった。ありがとう」
「お前は何もわかってない。これから、助け合わないといけない。なんとか、この殺し合いの主催を突き止めたい」
すぐさま本題に移ろうとする捜査官に、聖職者が一言釘をさす。
「ガスがどう、と言っていたね?君もかけられたのか」
その言葉に対し、呆れたように物を言う。
「人の話を聞かないのか?全員が浴びせられた可能性の高いのはやりとりでわかった」
「その後もだ。"chao"を身に付ければ殺し合いを楽しめるようになるという言葉だ」
思い出すように、天井を見上げながら話す。
「確かに言った、が。それがどうかしたか?」
「本当に捜査官なのか?君ならわかるはずだ。君自身は、"chao"を身に付けているのか?」
まるで、自分が"chao"と無関係というかのような口ぶりを忘れてはいなかったのだった。
「そのことか。俺自身は自身の"chao"には気づいていない」
だったらなんというのか。今まさに、聖職者を襲ったあの現象はどう説明するのか?
「ならば、物を動かせるそれはなんなのだ?」
「あえて暴走させているだけだ。敵意を持った先に攻撃が行く。どうしても身に付けたくないんだ。
周りが"chao"を手にし、あの治癒を信じているのかはわからないが殺し合いを平気ではじめる。
あくまでも、情報を聞き出す手段で使用している。ある一線を越えれば自分の"chao"になってしまうようなんだ」
その言葉を聞き、ある一つの結論を導き出す。
「ガスが"chao"発生の条件の一つ、自覚ではなく、別の面に直接発生する引き金が存在する…?」