0-開始-2

「これが"chao"!
僕の"chao"は"逆流"を暗示する能力であって、どんなに酷い状態になっていても治る!
そして、他人も治すことができるんだ。こういったものを君たちは持っている。
酷い状態になっていても治すことができる。安心して戦って欲しい」
男はそういうと、近くにいた武装している男の火炎放射を奪いとり、唯一露出していた手首に浴びせる。
直後、手をそこに当てるとそこには依然変わりない、普通の皮膚が存在していた。
壇上の男はそれを見計らい、促す。
「指定時間は今から24時間後。現在、12時前です。予定していた時間通りで驚きました。こちらとしては満足です。
時計は至るところにあります。ここから見える物で駅の時計でしょうか。12時を過ぎると、開始とします。
只今から本部は別の場所とします。監視カメラは置いてありますが、どんなやり方であっても構いません。
"chao"が武器を示す能力ならば、その武器のみ使用可能とします。
もし今持ち込まれている方がいましたら、幸運です。特別に使用を許可します。
検査に引っかからないのでしょうから、小さな物ですからね。しっかり注意してください。
明日の12時ピッタリに、大きな音量で音楽を鳴らします。終了の合図ですので、必ず殺し合いを止めてください。それでは、ご健闘のこと」
そういうと、今来た飛行機を全て使い全員が移動する。
会場である"クモの島"に残った100名は距離を取ろうとして散らばる。考えることは保身である。
破壊衝動に駆られた人間は、生き残ることを選ぶのだろうか。
違う、この島には警察すら来ない。法は無視できる。今、法はあの甘いルールだけ。
それに、死んでも参加費が減るだけで生き返れる。
それを踏まえて、少しだけしか離れない。
そこで、数人が"chao"について疑問を抱き始める。
この島は、かつて「チャオ」が住んでいた場所なのだ。
「チャオ」とは、人間並みの知能を持ち動物並みの能力を持ち合わせている、生物なのだ。
しかし、クモ事件と同時期にチャオに関するものは全て世から消し去られた。
紛れも無く、この島に「チャオ」は住んでいる。
"chao"は、その「チャオ」と同じ発音で口にする。その場にいた人にとっては、まるっきり同じ「チャオ」なのだろう。
資料には"chao"だが。
戦術も考えながら、逃げる者や既に戦う相手を決めている者がいる。

そして今、時計は12時を指した。
長い長い殺し合いが、今始まったのだ。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第224号
ページ番号
2 / 40
この作品について
タイトル
「マスカレードと世界観」
作者
Sachet.A
初回掲載
週刊チャオ第224号
最終掲載
週刊チャオ第250号
連載期間
約6ヵ月2日