最終話「いつか、君の為に」・後編
最終話・後編
神楽坂ペアと川島ペアが技術界に帰って、数日後の朝、チャトル大学付属高校。
【神楽坂】「・・・あれ?岩井先生は?」
教室にて、神楽坂ペアと川島ペア。
ところが、朝のHRの時間に、岩井先生が来ません。
【川島】「ああ、先生なら、1年のクラスの先生が出張でいなくて、そっちのHRに行ってるって。
勝手にやってろ、ってコトでしょ。」
【神楽坂】「はぁ。・・・でも、何でこっちはほっといてあっちは人が必要なんだろ。」
【カナル】「知るかよ。というか、誰が始めるんだよ?」
【サララ】「そりゃ、クラス委員が・・・」
しかし。
【クラス委員】「岩井先生から伝言で、今日の司会はラブラブカップルにやってくれ、だそうでーす!」
【川島】「ええっ!?」
岩井先生、事情を知ってか知らずか、狙っていたようです。
とりあえず前に出る2人。ところが。
【川島】「サララ、来ないの?」
【サララ】「先生の指名は『ラブラブカップル』ですから、私は違います。」
【カナル】「同じく。」
・・・明らかに逃げてます。
【神楽坂】「うう・・・しょうがねぇなぁ・・・とりあえず、始めまーす・・・」
しぶしぶ始める2人でした。
その途中、川島がようやく気づきました。
【川島】「そういえば、今日って、『あの日』じゃなかった?」
【神楽坂】「そういえば・・・ってことは、あのクラスに?」
【川島】「多分ね・・・」
その、1年生のクラス。
元々そのクラスも岩井先生が古典の授業を担当していて、さらに偶然1限目がここのクラスで古典の授業。
そのため、彼女が代わりを言われたのですが、先生が行かなければいけない理由がありました。
【岩井先生】「にしても、何で1年生のHRやんなきゃいけないんだろ・・・」
と、本来の担任から予め渡されていたメモを見ます。
【岩井先生】「・・・あー、そういうコトか。」
彼女はメモを置くと、みんなに向かい喋りだしました。
【岩井先生】「はい、皆さんちょっといい?
このクラスに、転入生が入るそうです!」
突然の発表に、ざわめくクラス。
【女子A】「て、転入生?」
【女子B】「どんな人なんだろ?」
すると、ガラリと扉が開き、女の子とチャオのペアが入ってきました。
【男子A】「おっ、かわいいじゃん!」
【男子B】「おまえな・・・」
そして、自己紹介。
【女の子】「はじめまして、高野千佳です。こちらが、パートナーのドルチェ=ステシオ。
分からないことだらけですが、よろしくお願いします。」
・・・なぜここに、高野がいるか。
木更津があの時思いついた名案が、コレだったのです。
技術界に行けば、誰も彼女の名前を知りません。これならば、何も心配せずに生きられる。
んでもってちょっと扉をくぐれば、すぐに互いに遊びに行ける、という訳です。
住む場所や資金的な問題もありましたが、簡単な解決方法がありました。
・・・ルーティア=リネージュ。
川島が彼女に協力を頼み、家の斡旋と資金的援助をしてもらったのです。
ついでに、チャトル大付属高校への中途入学も。
(ルーティア嬢を筆頭にとんでもない生徒ばかりいる高校ですから、異世界から来たってぐらいでは何の問題もありません)
さて、岩井先生は、メモを見て、彼女に一言。
【岩井先生】「・・・異世界から来たって、ホント?」
【高野】「はい、証拠、見せましょうか?」
【岩井先生】「いや、後でいいや。
・・・んじゃ、とりあえず、あそこに座って。」
と、後ろの方にある空席を指しました。
高野は指された方に歩き出し、その席に座りました。ドルチェも、側にあったチャオ用の席に。
そして、隣の席になった少年に挨拶。
【高野】「よろしく!」
【少年】「あ、ああ。」
その彼も、やはりチャオのパートナーがいました。永川ペアと同じ、男の人と女性チャオのペア。珍しいことには、変わりありませんが。
【ドルチェ】「よろしく!」
【チャオ】「よろしくお願いします。」
そしてそのまま、岩井先生の授業がスタート。
しかし、彼もパートナーも、高野とドルチェのペースに惑わされっぱなし。全く授業になりませんでした。
休み時間に思わず、こう言ったとか、言わないとか。
【少年】「・・・なぁ、オレはどうすりゃいいよ?」
・・・さて、これで私の話はおしまいです。いかがだったでしょうか。
やるべき事も終わりましたし、私はしばらくゆっくり休むとします。
それでは、またいつか。再び皆さんとお会いする日も、あるかも知れません。それまで、お元気で。
<あとがきに続く>