第15話「集まる、翼」・後編
第15話・後編
街の真ん中にある、競技場。
そこで、大会は開かれます。
といっても、行われるのは決勝トーナメントのみ。
参加者がとても多いので、まず予選リーグを行い、上位128組で決勝トーナメントを行うのです。
【川島】「えっと、香織ちゃんがF−2ブロックで、永川さんが・・・」
予選ブロックだけでもたくさんあります。パンフレットから会場を探すのも一苦労。
【神楽坂】「って、いいのか?俺達はバーミリオンを探して報告するって・・・」
【川島】「あのねぇ、こういうのは探したって出てこないのよ。偶然出会ったりするものなの。」
【神楽坂】「はぁ・・・」
そう、この2組はバーミリオンを探し、動向を四天王に報告する、という「役目」をもらってるのです。
【カナル】「にしても、案外広いな、この街・・・」
予選会場は街中に散らばっています。体育館のようなところから学校の校庭、果ては近所の公園まで。
会場は抽選によって決まるので、クジ運も必要とされているのです。
(まぁ、四天王クラスにでもなれば関係ないでしょうけど)
【サララ】「えっと・・・ここですね。」
2組が着いたのは、川原のグラウンドのような場所。
【川島】「えっと、香織ちゃんは・・・あ!いた!」
見つけました。ちょっと来るのが遅れたらしく、試合は既に終わっていました。
【神楽坂】「どうだったんですか?」
【ヴァレイユ】「8勝1敗でブロック2位。・・・通っちゃった。」
【川島】「ウソ!?凄いじゃない!」
【木更津】「なんか、気がついたら・・・」
・・・勝ってたそうです。
【川島】「となると、決勝トーナメント1回戦の相手は、R−3ブロック1位だから・・・ええっ!?」
パンフレットを見た川島が、とんでもないことに気がついてしまいました。
【神楽坂】「どうした?」
【川島】「R−3ブロックって・・・村井さんペアのブロックよ・・・」
あの村井ペアのことですから、予選リーグで取りこぼすことは考えられません。となれば、確実に。
【木更津】「う、うそ・・・どうしよう・・・」
【ヴァレイユ】「いいじゃない。これ以上強い相手と戦う必要、無くなったんだし。」
・・・物は考えよう。どう転んでも村井ペアに勝てるはずもないことを考えれば、ラッキーだったのかも知れません。
【木更津】「で、でも・・・」
しかしまぁ、これもクジ運。変えられる訳もなく、受け入れる以外ありません。
数日後。いよいよ、その当日です。
【川島】「まったく、何やってるのよ!」
【神楽坂】「だって、そっちが部屋から出てくるまでしばらく時間かかるっていうから・・・」
・・・この2組、急いでます。どうやら、もたついている間に、対戦が始まる時間が近づいてるようです。
一方、競技場。木更津ペアと村井ペアが、その真ん中にいました。
【村井】「・・・緊張してる?」
村井が、話しかけました。
【木更津】「は、はい・・・」
確かに、この場面では、緊張するなという方が間違ってます。
【村井】「それじゃ、ハンデつけてあげる。・・・舞は、使わない。」
【木更津】「い、いいんですか!?もし、それで負けたら・・・」
【村井】「あたしらが負けたら、香織ちゃんとヴァレイユちゃんの勝ち。・・・それだけでしょ?」
それは、自信なのか、覚悟なのか。木更津には、全く読めませんでした。
神楽坂ペアと川島ペアは、急に足を止めました。見覚えのあるチャオが、そこにいたからです。
・・・SEVENTH HEAVEN、ガナーシュ=ヴィデンス。
天麗高原で逃げた男です。
【カナル】「が、ガナーシュ!!」
【ガナーシュ】「・・・ん?ああ、天麗の時のザコ2組か・・・
どうした?殺されに来たか?」
【川島】「殺せるかどうかは・・・戦ってから言いなさい!」
川島が構えます。
【神楽坂】「え?まさか、やる気!?」
【川島】「当たり前じゃない!アンタもケガとっくに治ってるんだし、手伝いなさいよ!」
確かに、ケガはこの街にいる間に完治しています。さらに、こうなると断れないのが神楽坂。構えます。
【カナル】「4対1だな・・・」
【ガナーシュ】「ザコが多少増えようと変わんねぇなぁ・・・ま、準備運動には丁度いっか・・・」
【審判】「時間無制限、人間・チャオ共にKOされたら試合終了・・・いいですか?」
【村井】「ええ。」
【木更津】「あ、はい!」
2組が数歩下がって、所定の位置につきます。
【ガナーシュ】「いくぜ!覚悟しな!」
【審判】「レディー・・・ゴー!!」
2つの戦いが、始まりました。
来週へ続く