第15話「集まる、翼」・中編
第15話・中編
【ゲオルグ】「1年ちょいぶりか・・・」
【サリア】「ですね・・・」
【木更津】「う、う、うわ・・・四天王が、揃った・・・」
もう大変です。相当ビビってます。
【神野】「ずっと色んなトコ探してたけど、結局この街で全員集合か・・・
あれ?あの人たちって?」
神野が、神楽坂たちを指して言います。
【永川】「ああ、技術界から来た2組と、僕たちの後輩の1組とだけど?」
【トリシャ】「・・・ひょっとして由希恵、あの時の?」
【神野】「みたいね・・・まさか慶十郎と一緒にいたなんて・・・」
詳しくは13話前編を参照して下さい。
【神楽坂】「・・・え?」
指されて驚くのは、こっちです。
【ヴァレイユ】「そういえばどこかで・・・ああーっ!!」
やっと気づきました。
【カナル】「そ、それじゃ俺たち・・・四天王とバトルしてたのか!?」
まぁ、そうなります。
【村井】「どういう事?」
【神野】「ちょっと名前を変えて、天麗高原の近くに住んでたのよ。
その時に会ってるのよね・・・」
【木更津】「あたしらが気づかなかったなんて・・・」
それはそれでショック。会った事こそありませんが、名前も知ってますし、バトルスタイルから推測できたはずなのですが。
【川島】「それじゃ、木原真由ってのは・・・」
【神野】「うん、偽名。」
あっさり。
【牧原】「木原真由?・・・なぁ、それってワイの名前いじったやろ?」
【神野】「・・・バレた?ちょっと借りさせてもらったわ。」
【牧原】「なんやそら・・・」
・・・結構適当なところから名前を借りているものです。
【永川】「・・・で、本題だ。」
そう、本題。大会と、バーミリオン。
いきなり、4組の目が真剣になりました。
【カナル】(お、おい・・・なんか、いきなり気迫が・・・)
【神楽坂】(ああ・・・これが四天王なんだろうけど・・・)
【神野】「連中が確実にやって来るとして・・・何のために?」
【村井】「大会を利用して、何らかの作戦を仕掛けてくるはず・・・」
【牧原】「確かにせやけど、相手は魔術師7人とザコ兵士やで?
魔術界じゅうから魔術師が集まってくるっちゅーのに、マトモに戦ったって勝てる訳あらへんがな。」
【サリア】「確かに、マトモに戦ったら向こう負けます・・・ですが、技術界の技術なら・・・!」
【全員】「!!」
一瞬、言葉が止まりました。
【木更津】「まさか、街ごと「どっかーん」って吹き飛んじゃうとか!?」
【ゲオルグ】「おい、技術界ってそんなコトまでできんのかよ!?」
その疑問には、川島が答えます。
【川島】「無理じゃないけど、街全体は難しいわ・・・
ただ、建物1つとか、それぐらいなら・・・」
【神野】「それでも、そこに魔術師が集まってたりしたら・・・」
それこそ、終わりです。
【牧原】「・・・あーもう、考えんの面倒や!それより、大会にエントリーせえへんと、締切ってもうすぐのはずやで?」
【村井】「そうやって抜け出してナンパでもする気か?」
・・・どうも信用なりません。
【神野】「でも、締切が近いのは確かね。・・・誰か、4組まとめてエントリーしてきてくれる?」
【木更津】「あ、あたしが行ってきます!」
木更津が挙手。代理エントリーには身分証明が必要なので、魔術界の木更津が適役。
【カナル】「・・・大丈夫なのか?」
【サララ】「ヴァレイユついてるし、大丈夫なのでは?」
木更津ペアは、申込書に4組のサインをしてもらうと、それを持って店を出ていきました。
その後も、四天王の話し合いは続きます。黙って話を聞く、神楽坂と川島両ペア。
・・・およそ、1時間くらいが経ったでしょうか。
なぜか木更津が、大きなため息をついて帰ってきました。
【木更津】「ただいま・・・」
【川島】「おかえり~・・・どうしたの?」
【ヴァレイユ】「香織、またやらかしたのよ・・・」
【サリア】「まさか、間に合わなかったとか!?」
全員、驚きます。一体、彼女が何をしたのか。
【ヴァレイユ】「・・・いや、みんなのエントリーは無事に済んだわ。でも・・・」
【神楽坂】「でも?」
【ヴァレイユ】「・・・エントリー代理を書くトコ間違えて、あたしらまでエントリーしちゃったの。」
・・・やってくれます。
【木更津】「やりたくないよ・・・」
【神楽坂】「キャンセルってできないんですか?」
【ヴァレイユ】「締切過ぎると無理なのよ。」
【カナル】「単にサボりゃいいだけなんじゃね?」
【ヴァレイユ】「香織、そういうコトできない性格なのよ。」
となれば、出るしかありません。
【川島】「が、頑張ってね・・・」
【木更津】「うん・・・」
・・・とにかく、大会、開幕です。
<後編に続く>