第6話「勝者と、敗者」・後編

第6話・後編


【川島】「ところで、それ、何ですか?」

川島が、永川に質問。杖のようなものを、持っています。
【永川】「ああ、これか。これが、奴らが狙っていた、クリムゾンポール。」
【川島】「へぇ、これが・・・」

【サララ】「でも、どうするんですか?」
【永川】「うん、元々こんなものが存在するから、こんな事になる。
     だから・・・」

そう言い、永川はクリムゾンポールを思いっきり放り投げました。
クリムゾンポールはそのまま、崖へ消えていきます。これで、壊れてしまうでしょう。

【永川】「元々、こうしようと思ってここに来たんだけど、それが幸いだったようだね・・・」
【川島】「はい、ありがとうございます。」

気がつくと、日は西に大きく傾いていました。

【永川】「伝説は、伝説のままでいいんだ・・・」


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あの、数日後。魔術高校がある街に、全員戻っていました。
木更津とヴァレイユは、しばらく入院することに。
【川島】「本当に、大丈夫?」
【木更津】「うん、傷の数は多かったけど全部浅かったから、1週間もすれば大丈夫だって。」
【サララ】「そうなんですか・・・」

そこで、本題。
【カナル】「ところで、俺たちどうすんだ?これから。」
【永川】「・・・まだバーミリオンそのものを倒した訳じゃない・・・
     これ以上、技術界からの訪問者を大変な目に遭わせたくないし、できれば・・・」
【川島】「・・・帰った方がいい、でしょ?」
川島が、先に言いました。
【サリア】「え、ええ・・・」
【川島】「そうするわ。さすがに懲りたし。
     ・・・でもその代わり、平和になったらまた、こっちに来てもいい?」
【永川】「それはもちろん、歓迎するよ。だから、それまで我慢してもらえないかい?」
【川島】「分かったわ。・・・神楽坂、いいね?」
【神楽坂】「あ、はい・・・」

こうなると、神楽坂は逆らえません。
というより、神楽坂本人もそろそろ帰りたいと思っていた頃です。
ただ、それがあの川島の口から出たことに、少し驚いていました。

最も彼女は、自分が神楽坂を裏山へ誘ったがためにこうなってしまった、という自責の念が強かったのですが、神楽坂はそんな事を知る由もありませんでした。


そして、翌日。神楽坂ペアと川島ペアは、あの木更津の家にいました。つまり、扉。
見送りに、永川ペアもいます。
【永川】「それじゃあ、元気で。」
【川島】「はい、ありがとうございます。」
【サリア】「平和になれば、こちらから呼ばせて頂きますので、心配なく。」
【神楽坂】「分かりました。」

手を振りつつ、扉を開けて、2組は消えました。

【永川】「急がなきゃいけないね・・・彼らのためにも・・・」
【サリア】「ええ・・・」


で、技術界。
荒れた裏山を抜け、校庭を抜けて、家への帰り道。

【川島】「・・・ところで、今日、何曜日だっけ?」
【神楽坂】「えっと・・・日曜日かな?」
指折り数えて、日曜日。
【川島】「ってコトは、明日いきなり学校!?休みなし!?
     ・・・サボろっかな・・・」
【サララ】「涼子、それは・・・」

途端に日常に引き摺り下ろされたような感覚が、2組を襲います。
でも、彼らの「非日常」は、まだ終わってはいませんでした―――


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魔術界の、どこか。
SEVENTH HEAVENの会議です。
【???A】「ガナーシュ、で、吉川は・・・?」
【ガナーシュ】「知るかよ。何日経っても戻ってこねぇってコトは死んだんじゃねぇのか?」
【???B】「永川か?」
【ガナーシュ】「恐らくそうだろうよ。」
【???C】「で、どうするの?『SIXTH HEAVEN』にするの?
       それとも、補充メンバー探すの?」
【???A】「まだ作戦発動には時間がかかる・・・それまでにゆっくり考えておこう。
       クリムゾンポールは取られたが・・・頼むぞ。」
【???B】「あいよ。
       ・・・行けばいいんだな?技術界、とやらに。」
【???A】「ああ・・・」

             魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ) 第1部・完

このページについて
掲載号
週刊チャオ第187号
ページ番号
18 / 78
この作品について
タイトル
魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ)
作者
ホップスター
初回掲載
週刊チャオ第182号
最終掲載
週刊チャオ第227号
連載期間
約10ヵ月12日