第2話「力と、技と、その先に」・後編
第2話・後編
【木更津】「アイスキューブ!」
【ヴァレイユ】「エレククラッカーっ!」
2人が魔術を発動。
【男B】「うわぁっ!」
【男C】「ぐはっ!」
盗賊はどうやら魔術師ではないようです。
しかし、剣やら何やら武器をたくさん持っており、危ない相手です。
ですが、遠距離での戦いであれば魔術師に分があります。
あっという間に数人を蹴散らしました。
【川島】「凄い・・・対多数の戦闘って、こうやるのね・・・」
【サララ】「複数の人間を相手に、しっかり全員に対して注意を払い、スキを見せない・・・」
一見木更津やヴァレイユのやっていることは簡単に見えて、高度なものなのです。
そして、気がつけばリーダーらしき男が一人。
【リーダー】「ちっ、この女が最強だったのか・・・だが!」
彼は背中に背負っていた大きな剣を抜きました。
【神楽坂】「で、デカイ!」
【カナル】「あんなんアリかよっ!」
【リーダー】「おっと、遠くからって訳にはいかねぇぜ・・・?ダークバスター!」
その男は闇の魔法を放ちました。結構強力です。
【川島】「ま、魔術師!?」
とはいえ、この世界では誰でも魔術を使えます。要はそれが強いか弱いか、使うか使わないかの話です。
【ヴァレイユ】「どうする、香織・・・」
【木更津】「ここは・・・あたしに任せて!」
【ヴァレイユ】「一人でやる気!?」
【木更津】「どんな相手でも、一人ならばタイマンでの決闘をする・・・それが魔術界のルール、でしょ?」
【ヴァレイユ】「そうだったわね・・・」
そう言うと木更津は一歩進み出て、
【木更津】「アイスサーベル!」
剣を作りました。
【リーダー】「そんな細い剣でやろうってのか・・・?まぁいい、いくぜっ!」
その男は大剣を振り上げ、木更津に向かい振り下ろしました。
【木更津】「おっと!」
しかし、木更津は避けます。
【神楽坂】「あんな重そうなものを、軽々と・・・」
【川島】「でも、それを避ける木更津さんも凄いわ・・・」
そこに、ヴァレイユが。
【ヴァレイユ】「・・・木更津の家の長子だから、小さい頃から色々やってるのよ・・・」
【サララ】「そうなんですか・・・?」
【ヴァレイユ】「小柄で非力だから、大分苦労してたわ。
でも、おかげで魔術高校の1年生の中でも実力はトップクラス。
魔力はあまりないけど、テクニックは学年一よ。
もちろん、あんな感じの大男相手の戦い方だって、よく知ってるわ・・・」
【神楽坂】「凄いんですね・・・」
【ヴァレイユ】「うん、普段は正直、ネジが1本外れてるとしか思えないんだけどね。」
・・・まぁ、それは、ね。
ヴァレイユの言う通り、彼女は素早い動きで翻弄します。
【リーダー】「な、なんて女だ・・・ヘルショット!」
【木更津】「よっとっ!」
相手が攻撃しても、簡単にかわします。そして、
【木更津】「えいっ!」
剣で一撃。
【リーダー】「ぐはっ!」
【カナル】「決まった!?」
【ヴァレイユ】「いや、あれほどの相手だから、一撃じゃ無理。何回か決めないと・・・」
【リーダー】「くっ・・・てめぇっ!!」
さすがに我慢の限界を越えたようです。大剣を再び振り下ろします。
それは今までの力の比ではなく、スピードも違います。
【木更津】「速い!?」
避けきれず、彼女の剣が真っ二つ。
【サララ】「ああっ!」
しかし、ヴァレイユは落ち着いていました。
【ヴァレイユ】「大丈夫、いけるわ。」
男は今度こそ木更津を狙うべく、再び大剣を振り回します。今度は、木更津の右から。
当然、剣は横向きになります。彼女の狙いは、そこでした。
まず彼女は一歩後ろに下がると飛び上がり、剣に「乗った」のです。
【リーダー】「!?」
そして、ジャンプして、男の目の前で、
【木更津】「ブリザードクラッシュ!!」
・・・必殺技。決まりました。
【川島】「すごーいっ!」
戻ってきた木更津を出迎えます。
【神楽坂】「・・・本当に、飛んで、跳ねた・・・」
【木更津】「そんなコトないよ、必死でやってただけだし・・・それじゃ、行こっか。」
【サララ】「ええ。」
そう言って、歩き出しました。・・・しかし。
【ヴァレイユ】「・・・香織、そっち、逆だよ・・・」
【木更津】「・・・あれ?」
・・・逆です。
【川島】(あれで、あたしらよりよっぽど強いって・・・)
【神楽坂】(人って本当に見かけによらないんですね・・・)
来週へ続く