第3話「閃光」
閃光はアンドロイドの胴体を貫いた。
勢いのあまり飛びかかりかけていたアンドロイドは横に飛ばされ、数メートル先の地面まで吹き飛んだ。
アンドロイドの胴体には大きな穴が開いていた。
威力が大きすぎたのか、ピクリともその後動かなかった。
しばらく呆然としていたディンが閃光が飛んできたほうに目を向ける。
その先には、ライフルの様な銃を持ったクロマが居た。
「大丈夫・・・?」
銃を構えるのを止め、クロマはディンに近づく。
「御蔭様で何とか。ありがとう。」
ゆっくりと体を起こし、ディンはクロマに話し掛ける。
クロマの銃はやはり装飾がしてある。ディンの銃と同じく、トリガーには銃の名前「Soul」と言う名前が刻まれていた。
銃をしばらく見ていると、ディンはクロマの異変に気づいた。
家の中に居た時よりも顔色が悪く、全ての体力を使い果たしたかのようにフラフラだった。
「大丈夫か?クロマ。フラフラしているぞ・・・?」
「うん、大丈・・・」
どさっ、と言う音とともにクロマは倒れこんだ。
「クロマ、どうしたんだ!」
「平気さ、ちょっと力を使いすぎただけ・・・」
弱弱しい声で話すが、やがて気絶してしまった。
「何があったんだよ・・・。」
ディンはクロマを抱え、元居た場所に戻った。
数時間後には、壊れたアンドロイドを捨てるのも終わり、街は何も無かったかのようにまた戻った。
先ほど倒れていたチャオもどうやら平気だったらしく、けが人程度で済んだのは奇跡だろう。
そしてクロマも、数時間後には目を覚ました。
「あはは、ゴメンね・・・。」
さっきに比べたら弱弱しくは無いが、まだ元気はなさそうだ。
「どうしたんだよ、いきなり倒れこんで・・・。」
「ああ、力を使いすぎたんだ。あれは唯の銃じゃないし、僕も唯のチャオじゃない。」
そう言い、詳しい説明をクロマは話し始めた・・・。
クロマは、今は無き「ルモワール」と言う民族のチャオだったらしい。
ルモワールは、普通のチャオよりずば抜けて気力、いわゆるオーラが大きい種族だ。
そのため、オーラなどを使い様々なことが出来る。
例で言えば、オーラを使い火を起こす。大きく、道をふさいだ岩を楽々と退かす・・・。
その力を欲しいために、ある民がルモワールを滅ぼした。
オーラを使えば簡単な物だと思うかもしれない。
だが、ルモワールは悪魔で戦闘には使わないため、彼らは無防備だったのだ。
クロマは奇跡的に殺される事も無く、幼い頃にこの街へ来たのだ。
死んでしまった父親が持っていた銃「Soul」と共に・・・。
この街をきた時、クロマは銃の弾を気力で閃光にする事を拒んだ。
戦闘に使うのは民族のルールに反するからだった。
だが、仲間がピンチを迎えた時、罪の無い人が殺されてしまいそうな時、そのルールを破る事にしたのだった・・・。
「なるほどね・・・。で、そのライフルはどういう関係が?」
「実はね、弾は普通の鉄で作られた銃弾なんだよ。光学式の銃じゃないんだ。」
「じゃあ、あの閃光は・・・。」
「あれは気力を弾の形に変えた奴さ。銃弾は『型』ってこと。ただ・・・。久々に使った事もあって、どうやら怠けちゃったらしいね」
そう言いながらライフルの弾を装填する。確かに鉄の銃弾だ。
「レーザーは使わないのか?」
「レーザー何て僕にとっては唯の光さ。気力はその数倍。レーザーの刃だって跳ね返せず貫通しちゃうさ。」
「そうなのか。俺のセイバーは絶対跳ね返せないな・・・。」
その後、しばらくの後は会話を続けていた。
目の前には新たな敵が襲いかかろうとしているのを知らずに・・・。