~頑張る乙女~

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―――実が好き、大好き―――

その言葉に全てが消え去ったよう。

実は我に帰って、

「え…オレ・・?」

と呟いた。

それを聞いて私は深く頷いた。

きっと顔はタコのように赤くなっているから、顔が上げられない。

私はハッとすると、すぐにポッケからあのトリュフを取り出した。

「こ、これ。一生懸命作ったの。だから…受け取って」

私は心臓を早鐘のように鳴らせながら言った。

きっと今までこんなにドキドキしたのは初めてだろう。

「あ、あの」

私がもう一度いいかけたそのとき。

「ごめん」


・・・・・・・。

全てが静かになった。

瞳には闇さえ何も映らない。

風が耳をかすめる音さえ聞こえない。

「え・・・」

私は全身が硬直した中でやっとのことで声を出した。

「い、今、なんて」

心臓はもう冷え切っていた。

心は十分なほどに錆付いていた。

「ごめん」

もう一度実は繰り返した。

「・・・・」

声が出せないほどにショックだった。

ピシャン。

実が保健室のドアを静かに閉めた。

「ぅ…そ」

私はトリュフを握ってその場にへたり、と足をついた。

「ぅ…」

私の目から大粒の涙がボロボロと零れた。

「ふぇ…」

好きだったのに。

大好きだったのに。

どうして。

私の何がいけないの。

私、実のためならどんなキレイなコにもなれるよ。

私、実のためならどんなことも許せるよ―――・…。

今までの片思いが涙と共に消えていく。

私はもう一度布団へ潜り、しゃくりながら泣いた。

泣いて、泣いて、もう全ての力さえ流れていってしまったようだった。

 
帰宅した。

私は今日のことを全てチャオにつたえるために、GCの電源を入れた。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第172号
ページ番号
3 / 5
この作品について
タイトル
優しい飼い主求めて。ラブ・ウォーズ
作者
あっこ
初回掲載
週刊チャオ第172号