~頑張る乙女~
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―――実が好き、大好き―――
その言葉に全てが消え去ったよう。
実は我に帰って、
「え…オレ・・?」
と呟いた。
それを聞いて私は深く頷いた。
きっと顔はタコのように赤くなっているから、顔が上げられない。
私はハッとすると、すぐにポッケからあのトリュフを取り出した。
「こ、これ。一生懸命作ったの。だから…受け取って」
私は心臓を早鐘のように鳴らせながら言った。
きっと今までこんなにドキドキしたのは初めてだろう。
「あ、あの」
私がもう一度いいかけたそのとき。
「ごめん」
・・・・・・・。
全てが静かになった。
瞳には闇さえ何も映らない。
風が耳をかすめる音さえ聞こえない。
「え・・・」
私は全身が硬直した中でやっとのことで声を出した。
「い、今、なんて」
心臓はもう冷え切っていた。
心は十分なほどに錆付いていた。
「ごめん」
もう一度実は繰り返した。
「・・・・」
声が出せないほどにショックだった。
ピシャン。
実が保健室のドアを静かに閉めた。
「ぅ…そ」
私はトリュフを握ってその場にへたり、と足をついた。
「ぅ…」
私の目から大粒の涙がボロボロと零れた。
「ふぇ…」
好きだったのに。
大好きだったのに。
どうして。
私の何がいけないの。
私、実のためならどんなキレイなコにもなれるよ。
私、実のためならどんなことも許せるよ―――・…。
今までの片思いが涙と共に消えていく。
私はもう一度布団へ潜り、しゃくりながら泣いた。
泣いて、泣いて、もう全ての力さえ流れていってしまったようだった。
帰宅した。
私は今日のことを全てチャオにつたえるために、GCの電源を入れた。