その4

<その4>


ルーティア嬢の戦闘機は、戦闘体制に入るために人型へと変形した。
【きょうじゅ】「ほほー、変身できるのか!まるで魔法少女じゃな!」
【ペンチャ】「いや変形だろ…どこが魔法少女なんだよ…」

【ルーティア】「へっへー!すごいでしょー!?実はこの機体、人型と戦闘機型の中間形態にもなれるんだ!」
と、変形してみせる。
【ロルフィーヌ】「おおーっ、素晴らしい!まさに華麗だ!」
【エルファ】「敵ホメてますけどいいんでしょうかね…?」
というか敵を目の前に変形して遊んでる時点でどうかしているが。そしてそれを攻撃しない側も。

【神楽坂】「いやちょい待てよ?こんなのどっかで見たことあるような…」
【川島】「そういえばそうね…」

【2人】「って、バルキリーじゃんか!!」

【エルファ】「確かに、バルキリー、ガウォーク、バトロイド…相手がマクロスならこっちもマクロスってことですか…!」
【神楽坂】「っていうかこともあろうにあのルーティア嬢がパクっていいのかよ!?」

するとルーティア嬢は後ろにいるみんなの方を振り向き、

【ルーティア】「キラッ☆

【2人】「ごまかしたーっ!!」

【エルファ】「とにかく、こうなった以上は…バルキリーもどきとバジュラもどきは直接対決!
       残りを私たちで抑え込めば…っ!」
【川島】「そう考えるのが妥当ね…!」


【きょうじゅ】「とりあえず、突撃じゃあああーっ!!!」
との、きょうじゅの掛け声が響くと同時に、両方が突撃した…と思いきや。

【紀流院】「ちょっと待ったぁーっ!!」
【きょうじゅ】「えっと…アンタ誰じゃっけ?」
【紀流院】「忘れるなーっ!!」
まぁまぁ落ち着いて。

【紀流院】「なんでこの俺がルーティアちゃんの敵にならなきゃいけないんだよ!」
ルーティア嬢の熱狂的なファンである紀流院。そもそも彼を騙すために、きょうじゅはわざわざ「政府の幹部による」パーティーと嘘をついたのだが。

【紀流院】「俺が好きなのは2人の超時空アイドルでも5人のプリキュアでも11人のアイドル候補でも12人の妹でも31人の魔法少女でもねぇ!
      たった一人のルーティアちゃんなんだあああっ!!!」

【きょうじゅ】「むぅ…バレてしまったか…」
【紀流院】「絶望した!ルーティアちゃんを敵に回した俺に絶望したぁっ!
      俺は今からルーティアちゃんの味方になる!!」
と、オモチャオーを動かそうとしたが。
【紀流院】「!?」
紀流院の体が動かない。
【紀流院】「な、なぜだっ!?」

【ロルフィーヌ】「ま、まさか…」
【ペンチャ】「本当にギアスがかかってるだとーっ!?」
【水猫】「あれはハッタリではなかったのか!」

【きょうじゅ】「だーっはっはっはっは!!これでワシには逆らえん!!総員突撃じゃあーっ!!!」

かくして、ようやく両者が激突。


【ルーティア】「とりあえず、ミサイル発射ーっ☆」
ルーティア嬢がババババーっとミサイルを乱射する。全てきょうじゅのバジュラもどきへと向かい、全段命中…のはずが。
【エルファ】「効かない!?」
【ルーティア】「ならこれでっ!」
続いて両肩の部分から砲身が伸び、2連ビーム砲。だが今度は、バジュラもどきの周辺にフィールドのようなものが発生し、打ち消してしまった。

【きょうじゅ】「ATフィールドにディストーションフィールド!さらにフェイズシフト装甲で無敵じゃーっ!!」
【神楽坂】「ぱ、パクリのオンパレード…ヤバイってレベルじゃねーぞ!色んな意味で!」

だがまだ策はある。
【ルーティア】「だったら…格闘戦に持ち込めばっ!」
バルキリーもどきは戦闘機へと変形し、一気に距離を詰める。それをさせまいとバジュラもどきも加速。一気に熾烈なドッグファイトへとなだれ込んだ。


【川島】「なんかあそこだけ別次元みたい…」
【神楽坂】「こっちはこっちでやるっきゃねーだろ!いくぞ!」
【木更津】「へ?ま、まさか、あたしが戦うのって…あれ?」
と、オモチャオーを指差す。
チャオ専用であるため全高5mと、ロボットにしてはやや小型だが、それにしても人間が戦うには大きすぎる相手だ。
【川島】「大丈夫!いけるわ!」
【神楽坂】「オモチャオーの構造なら頭に入ってる!」

さて、『原作通り』ならば、オモチャオーの本体は胴体部分。頭の部分はいくつもの武装があるが、何度壊しても超次元エネルギーで自動再生する。
【川島】「でも、超次元エネルギーなんて…」
【神楽坂】「相手はあのきょうじゅだ!何があってもおかしくないだろ!?」
【川島】「となると…狙うは胴体!」

そこに、1機のオモチャオーが。
【川島】「来たっ!」
オモチャオーの主兵装、頭のゼンマイことオモチャオートマホークを抜くと、一気に襲いかかった。
【木更津】「うわあっ!?」
慌ててよける3人。

【木更津】「ど、胴体でいいんだね!?」
【神楽坂】「ああ!」
木更津が確認をとると、クルリと向きを変え、オモチャオーに向かい加速。そして、
【木更津】「アイスキューブ!」
魔術を発動。
オモチャオーの胴体に見事命中したが、大きなダメージにはならない。

【川島】「右から来るわ!」
【木更津】「!」
右からもう1機のオモチャオーが迫る。
【神楽坂】「…って、あれ大丈夫か…?」
そのオモチャオーは、他の4機に比べ、明らかにオンボロ。
【神楽坂】「なんというか、よく地球まで降りてこられたな…」
これに乗っているのは、もちろん…
【タキオン】「第1期週チャオには、『チャオは宇宙服などの装備無しで宇宙にいられる』っていう謎設定があるんだな。これ父さんの豆知識ね。」
【川島】「まぁ、順当なところね…」
ちなみに、資材不足で4機までしかマトモに作れなかったらしい。

木更津はタキオンのオモチャオーの攻撃をあっさりかわし、
【木更津】「ブラスティ・フロストっ!」
と一撃。先程のオモチャオーと違い、あっという間に大破。
【タキオン】「え?あれ…?ひょっとして、父さん危ない…?」

【神楽坂】「後は俺が何とかする!」
すると神楽坂は大破したタキオン機の方へ向かい、
【神楽坂】「オレンジ畑でも…耕してなぁっ!!」
蹴りを一撃。そのままタキオン機は墜落していき、1機撃破。


一方、こちらにも1機オモチャオーが迫る。
【エルファ】「来ますか…Allow!」
『Allow Mode.』
彼女がそう指示を出すと、彼女のデバイス、クアトレスパーダが応えた。弓の形へと変形し、彼女がそれを引く。
刹那、光の矢が疾る。が、オモチャオーはそれをやすやすとかわした。さらに迫る。
【エルファ】「やはり距離を取らせてはもらえないようですねっ…!Sword!」
すると今度は巨大な剣になる。相手の一撃を受けようと構えたが…オモチャオーはそこで止まった。

【エルファ】「!?」
何やら声が聞こえる。呪文のようなお経のような…その正体はこれだった。

【ロルフィーヌ】「この華麗なる僕のウルトラハイパースペシャルツンデレデリシャスドリームエターナル…」
【エルファ】「…今ツンデレとか聞こえたのは気のせいでしょうか…」

とにかく、気を取り直して。
【エルファ】「そんなにツンデレが好きならツンデレで葬ってあげますよ!伊達にPSUでネタキャラ化してませんからね!!」
と、なんだか無茶苦茶な口上で大剣を構え、
【エルファ】「べ、別にアンタと戦いたい訳じゃないんだからね!偶然待ってたらここに来ただけなんだから!!」
と、なんだか意味不明な決め台詞でオモチャオーを突き刺した。

【ロルフィーヌ】「スーパーネコミミメイドクリスタルブリザード…ってうわあああっ!!!」
…あっさり2機目撃墜。

【エルファ】「さすがに猫耳メイドはちょっとこの場では無理ですが…」
そう言いながらクアトレスパーダを通常の双剣に戻した。


さて、魔術師3人組の方はタキオン機を撃破したものの、1機がなおもこちらに迫る。
オモチャオートマホークを抜くオモチャオーに対し、木更津も氷の剣で対抗。
【木更津】「うー、さすがに大きさが違いすぎるよーっ…」
とか泣き言を言いつつもしっかり対応している辺りが、彼女の強さである。

そのオモチャオーに乗っているのは、紀流院。
【紀流院】「ちくしょおおっ!!なんでルーティアちゃんを敵に回さなきゃいけないんだよぉっ!!」
と言いつつも攻撃を繰り返す。そして、木更津の一瞬の隙を突き、オモチャオートマホークを振り上げ、
【木更津】「! しまっ・・・」
【紀流院】「俺が…俺が!オモチャオーだ!!
      茶・王・爆・炎・断!!!!!
必殺技であるVの字斬り、茶王爆炎断!!敵は粉々に……

【神楽坂】「って、今回はこっちが味方だろーっ!!」
間一髪、神楽坂と川島が木更津を助けセーフ。

【川島】「あいにくその技は見切ってるのよ!9年前にね!!」
【木更津】「あ、ありがとう…今度こそ!」
すると木更津は自ら2人のところを離れ、オモチャオーへ一直線。
紀流院機のオモチャオートマホークを完全に見切ってかわすと、
【木更津】「果てよ吹雪!ブリザードクラッシュ!!」
必殺技を叩き込んだ。

【紀流院】「あ…アンタって人はぁーっ!!」
紀流院はそう叫びながら墜落していき、3機撃破。


【水猫】「あらあら、あっという間に2機になってしまいましたねぇ。」
【ペンチャ】「なんというかまぁ、妥当といえば妥当だが…ギアスがかかってる手前止める訳にもいかねぇ!」
この2匹はそう簡単にはいかない。エルファと水猫機、木更津とペンチャ機が激しいタイマンを繰り広げる。


一方その頃、パーティー会場の近くの道路。
霜月麗香は、双眼鏡で戦闘の様子をのんびり見ていた。
【霜月】「派手にやってるわねぇー。」
その横に、ナッちゃんの姿が。
【霜月】「あら、いいんですか?お宅の水猫さん、あちら側にいらっしゃるようですけど…」
【ナッちゃん】「いーんですよ、何でもアリが週チャオなんですから。あのルーティアさんですら生きてるぐらいですから、死ぬようなことはないでしょう。」
【霜月】「それもそうですね…」


さらにその近くには、タキオン一家。安全な所へと避難すべく移動中。
【ルーキ】「まったく…こんな時に父さんはどこに行ったんだ?」
【プロン】「どうでもいいけどさー、ケータイ圏外なんですけどー。基地局もやられたってゆーかー?」
【バーブ】「バブー、バブー。」
【マッハ】「みんな早くしなさい、流れ弾がきたら危ないわよ。」

と、そこに、流れ弾ならぬ流れ機体が墜落してきた。衝撃と埃で一瞬視界が遮られる。
【プロン】「!?」
埃が収まったところにいたのは…一家の父親、タキオンであった。
【ルーキ】「お、親父!?なんでこんなとこに!?」
【タキオン】「いやー、誰かと思えば父さんの家族じゃないか。こんなところでどうしたんだ?」
【マッハ】「あなた…しばらく家を出て行って何をしてたかと思えば…!!」
マッハ、怒り心頭。当たり前といえば当たり前。
【タキオン】「え…あれ?ここって感動の再会のシーンじゃないの?」
【マッハ】「これのどこが感動の再会なのよーっ!!」
と、パンチを一撃。

【タキオン】「折角地球に降りてきたのに、父さんまた月まで飛んじゃうよー………」
そう言い残し、きれいな曲線を描いて空に消えた。最後に「キラッ☆」と輝いた…かどうかは定かではない。

<続く>

このページについて
掲載号
チャオ生誕10周年記念特別号
ページ番号
4 / 6
この作品について
タイトル
【Lost Decade Chronicle】
作者
ホップスター
初回掲載
チャオ生誕10周年記念特別号