続・ライトカオス様

――私はライトカオス。この村の長である。皆からは長として慕われ、親として慕われ、兄として慕われ。皆私を家族のように慕ってくれている。そして私も皆を慕っている。

――前回、まざまざと修行不足を露呈してしまった私だが、アレから修行を積み、ついに悟りを開くコトに成功した。

――もう、わからないコトを聞かれてもはてなマークを浮かべたりしないし、驚いた時でもびっくりマークを浮かべたりしないし、えっちなコトを考えてもはーとマークを浮かべたりしない。

――私はこの村の長としての、威厳を手に入れたのだ。


――そんな私だが、今、あるコトについて悩んでいる。

――最近村のみんなが、少々元気が無いように見えるのだ。

――数日間考えてみたが、思い当たる理由が見当たらない。

――とにかく、このままではいけない。そう考えた私は、村の皆でパーティーをしようと考えた。

――皆で美味しい料理を囲めば、きっと元気が出てくるのではないだろうか。私は早速村の皆にそう提案して、皆は大喜びで賛成してくれた。

――私たちは早速、準備に取り掛かった。



「かんぱ~い!」

――満天の星が瞬く、澄み切った夜空の下で、パーティーは始まった。

――屋外に設けられたパーティー会場。テーブルには豪華な料理が山のように並んでいる。

――乾杯の合図とともに、みんな笑顔が弾け飛んだ。私も、自然に顔がほころぶ。

――とにかく、皆に楽しんで欲しい。皆の笑顔を見て、私はそう思った。



「ライトカオス様~」

――私が料理に舌鼓をうっていると、子供のチャオが二人そろって声をかけてきた。キミたちはチャルルさんの所のチャロロ君と、チャランさんの所のチャレンちゃん。私に何か用かね?

――私がそう聞くと、彼らからは予想だにしない言葉が返ってきた。

「ライトカオス様、楽しくないの~?」
「ないの~?」

――私は、えっ、と驚きを口に出した。そして逆に尋ねた。急に、どうしたんだい?

――返ってきた答えに、私は愕然とした。

「だってライトカオス様、おいしいお料理食べてもはーとマーク出てないよ~?」
「ないよ~?」

――……。

――彼らは、さらに続ける。

「ライトカオス様、最近元気が無いから、村の皆心配してたの~…」
「ライトカオス様のおてんとさま、全然はーとマークにならないの~…」

――私はそれを聞いて、全ての合点がいった。皆が、最近元気が無かった理由。

――皆、私のことを心配してくれていたのだ。

――私は、なんてバカなコトをしていたのだろう。こんな子供にまで、心配をかけて…。

――威厳なんて、どうでもいい。そんなモノのために感情を表現できなくなってどうする。

――私は、なんて愚かだったんだ…。


――すまない、皆。皆に、無用な心配をかけてしまったようだ。私ならもう大丈夫だ。

「ほんと~?」
「ほんと~?」

――本当だよ。ごめんね、心配させてしまって。さぁ、料理はまだまだたくさんあるぞ。皆で一緒に食べよう。

「あ、おてんとさまが、」
「あ、おてんとさまが、」


「はーとマークになってる~!」


――そう、コレでよかったのだ。コレで……。



数日後。

「ライトカオス様~、れもん、って漢字で書いてみて~」

――え、えぇと…うーんと……。

「ライトカオス様~、コレ開けてみて~」

――どれどれ……うわぁっ!

「ライトカオス様、なんかえっちなコト……」

――…。


――修行、し直そうかな…。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第191号
ページ番号
2 / 3
この作品について
タイトル
ライトカオス様
作者
宏(hiro改,ヒロアキ)
初回掲載
週刊チャオ第102号
最終掲載
週刊チャオ ライトカオス記念号
連載期間
約2年2ヵ月20日