続・ライトカオス様
――私はライトカオス。この村の長である。皆からは長として慕われ、親として慕われ、兄として慕われ。皆私を家族のように慕ってくれている。そして私も皆を慕っている。
――前回、まざまざと修行不足を露呈してしまった私だが、アレから修行を積み、ついに悟りを開くコトに成功した。
――もう、わからないコトを聞かれてもはてなマークを浮かべたりしないし、驚いた時でもびっくりマークを浮かべたりしないし、えっちなコトを考えてもはーとマークを浮かべたりしない。
――私はこの村の長としての、威厳を手に入れたのだ。
――そんな私だが、今、あるコトについて悩んでいる。
――最近村のみんなが、少々元気が無いように見えるのだ。
――数日間考えてみたが、思い当たる理由が見当たらない。
――とにかく、このままではいけない。そう考えた私は、村の皆でパーティーをしようと考えた。
――皆で美味しい料理を囲めば、きっと元気が出てくるのではないだろうか。私は早速村の皆にそう提案して、皆は大喜びで賛成してくれた。
――私たちは早速、準備に取り掛かった。
…
「かんぱ~い!」
――満天の星が瞬く、澄み切った夜空の下で、パーティーは始まった。
――屋外に設けられたパーティー会場。テーブルには豪華な料理が山のように並んでいる。
――乾杯の合図とともに、みんな笑顔が弾け飛んだ。私も、自然に顔がほころぶ。
――とにかく、皆に楽しんで欲しい。皆の笑顔を見て、私はそう思った。
…
「ライトカオス様~」
――私が料理に舌鼓をうっていると、子供のチャオが二人そろって声をかけてきた。キミたちはチャルルさんの所のチャロロ君と、チャランさんの所のチャレンちゃん。私に何か用かね?
――私がそう聞くと、彼らからは予想だにしない言葉が返ってきた。
「ライトカオス様、楽しくないの~?」
「ないの~?」
――私は、えっ、と驚きを口に出した。そして逆に尋ねた。急に、どうしたんだい?
――返ってきた答えに、私は愕然とした。
「だってライトカオス様、おいしいお料理食べてもはーとマーク出てないよ~?」
「ないよ~?」
――……。
――彼らは、さらに続ける。
「ライトカオス様、最近元気が無いから、村の皆心配してたの~…」
「ライトカオス様のおてんとさま、全然はーとマークにならないの~…」
――私はそれを聞いて、全ての合点がいった。皆が、最近元気が無かった理由。
――皆、私のことを心配してくれていたのだ。
――私は、なんてバカなコトをしていたのだろう。こんな子供にまで、心配をかけて…。
――威厳なんて、どうでもいい。そんなモノのために感情を表現できなくなってどうする。
――私は、なんて愚かだったんだ…。
――すまない、皆。皆に、無用な心配をかけてしまったようだ。私ならもう大丈夫だ。
「ほんと~?」
「ほんと~?」
――本当だよ。ごめんね、心配させてしまって。さぁ、料理はまだまだたくさんあるぞ。皆で一緒に食べよう。
「あ、おてんとさまが、」
「あ、おてんとさまが、」
「はーとマークになってる~!」
――そう、コレでよかったのだ。コレで……。
…
数日後。
「ライトカオス様~、れもん、って漢字で書いてみて~」
――え、えぇと…うーんと……。
「ライトカオス様~、コレ開けてみて~」
――どれどれ……うわぁっ!
「ライトカオス様、なんかえっちなコト……」
――…。
――修行、し直そうかな…。