第拾壱話
真実だと言っても信じきれない
第拾壱話ー謎
「よくもまぁこんな狭いところに龍がいるもんだ」
ドルックが言った
まぁこの状態で驚いていたお前なのに、すぐに立ち直るのも流石だが
どうやらこの龍は、カルル達の匂いをかぎ付けて起きてしまったらしい
カルルは、珍しくいまだにオドオドしていた
「ひぃぃ」
龍が叫び声をあげるたびに慌てふためく
龍の後ろに人影が見えた
ソイツは龍に向かって喋った
「んー?五月蝿いぞ」
「やっぱりこの世界に異常が起きているようだな」
流石にカルルもこの言葉には反応した
「えーと?今起きていることを知っているのですかね?」
「ん・・?まぁ少しなら」
そいつは龍の影から出てきた
目の左は眼帯をしていたチャオ族、体は黄色足は赤だった
右目の下には傷があった
腰に短刀を二本下げていた
「ヘローです」
少し沈黙したが
気を取り直してカルルは聞いた
「君は誰ですか?なんでそのことを知っているんですか?ていうか龍は何ですか?」
「そんなに一気に聞かないでくれ」
「じゃあ名前」
「俺の名?ヴァル・クラウフォス」
龍はだいぶ静かになっていた
ヴァルとやらは喋った
「で?この龍は何かって」
「そう」
少し言おうか言うまいか悩んでいたが喋りだした
「これはここに封印されていた龍、どうやら黒いガーデンの関係だと思う」
「なにが?」
ドルックは聞いた。とりあえずこの状態を理解していないようだったから
カルルは簡潔に喋った
「へぇ」
「で・・・あのガーデンが出現してからこいつの目が覚めたようで封印をぶち破りやがった」
「この目の下の傷と、左目は龍に攻撃を受けちまってねぇ・・・」
「へぇ」
「なんでこんな所に居るの?」
ドルックは聞いた
「俺は復活させた時龍を封印させるために戦ったんだが・・封印ではなくて力を抑えるので精一杯なんだ」
「で?」
「俺の力で常に制御しておかないとだからここにいないといけないんだよ」
「大変ですな」
聞いたドルックが一番不真面目
ほとんど聞いていない
さっきまでは明るく言っていたが表情はけわしくなっていった
「もしも・・・この事がガーデンでおきたことなら、このアクアリスも壊滅する」
少しだけ間があいた
そしてドルックが聞いた
「でもここはあのガーデンからエネルギーを得てはいないよ?」
「【このガーデンは】なでもこの龍の力が暴走したらとんでもない事になっちまう」
ヴァルは続けて、
「絶対ガーデンには伝説の生き物の物語というものがあるはずだ」
「だがそれは物語ではなく本当のことだ」
カルルが驚いた様子だった
「ぇ?じゃあ何処のガーデンも確実に滅びちゃうの?」
「あぁもう各ガーデンで異常が起きているだろうね」
ドルックはともかくカルルは言葉が出なかった
ヴァルは冷静に言った
こんなときに冷静になっていられるのはもう諦めているからか
「もう用件は済んだだろさっさと仲間を探さないとね?」
カルルは驚いていた
まさかそんなことが分かるとは
ヴァルは仲間の居場所を言った
「どうやらお前の仲間はサンドラガーデン、レイガーデンに3人ずついるだろう」
カルルはかなり喜んだ でもその顔は一瞬で真顔に戻った
「・・・・一人だけ消息が分からない」
「!?」
「まだ生きているだろうがオーラというものを感じないんだ」
「・・・・」
しばらく沈黙が流れた
カルル達は洞窟の外に出てチャオウォーカーを見つけて
ドルックと一緒に各ガーデンに向かうことにした
「いろいろありがとうございまし・・・」
カルルが礼をしようとした時ドルックはそっぽを向いていたので無理矢理頭を下げさせた
カルルがこれまで言わなかったことを言った
「貴方ってなんかただのチャオじゃなさそうだね?」
特にあわてた様子も無くヴァルは
「まぁ一番ただのチャオじゃないのは君だが」
「ぇ?」
「まだ君には分からないだろう自分の持つ力の強大さを」
カルルはしばらく頭を抱えていたが
ドルックに言われてこのガーデンからもう出ることにした
チャオウォーカーに乗って空に飛んだ後
龍がすさまじい声で吠えていた
何か不吉な感じがした